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子育てハガキ通信

かわいいイラストが入った子育てハガキ通信には、「子育てワンポイントメッセージ」と小さな赤ちゃんから遊びに来れる「未就園児の催し」が掲載されています。毎月無料でお届けします。



今年度のお話しテーマ

2025年/新しい時代の子育ての極意「元気で優しい賢い子は正しい脳育てから」
成田奈緒子 小児科医・医学博士


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2024年度 公認心理師・子育て相談室主宰 永瀬春美

心の成長は「らせん階段」
~言うことを聞かせないしつけの話~ 


  • 4月号
    言うことを聞かせることは、しつけにならない。 じゃあ、どうすればいいの?

    自己主張が始まる2~3歳ころのしつけは、子どもの気持ちも大事とは思うけれど大人の思いや社会のルールに合わないことも多くて、むずかしいですね。
    「もう~何回言わせるの。いい加減にしなさい!」とつい声を荒げて、「ああ、またやっちゃった」と後悔しても、次の日には同じことの繰り返し。「怒鳴っちゃいけないのは分かっているけど、おだやかに言っても聞かない子のしつけはどうしたらいいんですか?」など、とても多いご相談です。
    今この場で言うことを聞かせるために、親が怒鳴ったり、おどしたり、罰を与えたりすることは現在すべて体罰として法律で禁じられています。子どもが自分で考え、自分で葛藤を乗り越える力がつかないし、思いを否定された怒りがたまって攻撃的になったり、人がどう思うかばかり考えて自分の気持ちで行動を選べない子になったり、よい結果につながらないことが多くの研究で証明されているからです。「言うことを聞かせるしつけ」は、裏目に出ることが多いのです。

    「今この場で」ではなく、同じことを何度でも、時間をかけてていねいに、でも堂々巡りではなく少しずつらせん階段を上るように、「子どもの生きる力を育てるしつけ」を来月以降のハガキで考えていきたいと思います。

  • 5月号
    心の発達を知ろう! 相手の気持ちに配慮することは、今できるようにさせなくていい

    赤ちゃんの体の機能がお座りからつかまり立ち、一人歩きへと発達していくように、心も順を追って少しずつ発達します。ザックリ言うと、①感じるままの気持ちを大人にたくさん共感してもらうことで、自分の気持ちがわかってくる。②共感してもらった自分の気持ちと照らし合わせて、相手の気持ちを想像できる。③相手の気持ちを考え、自分の気持ちとの葛藤に自分で折り合いをつけて、待ったりゆずったりできる、という流れです。
    3歳以前は、発達段階として自分の気持ちも相手の気持ちもよくわかっていません。おもちゃの取り合いで「取っちゃダメ」「貸してあげなさい」と叱るのは、まだお座りができない子に「歩きなさい」と言うようなものなので、適切ではありません。
    人が持っているものが欲しい気持ちも、全部大事で一つも貸せない気持ちも、「気になるねぇ ほしくなっちゃったか~」「どれもみんな使ってるんだね」などとそのままに受け止め共感してあげたうえで、適切な行動を繰り返し教えることが、自分の気持ちがわかり、いずれそれと照らし合わせて相手の気持ちを想像できるようになる「はじめの一歩」です。どんな気持ちも否定しないで、しつけるのは行動だけ。次回から、その方法を考えます。

  • 6月号
    感じてはいけない気持ちはない。しつけるのは行動だけ

    先月のハガキで、一見わがままや自己中心に見える子どもの気持ちを否定しないで大切に受け止めることが、相手の気持ちに配慮できるようになる「はじめの一歩」と書きました。安定したお座りができるようになると、自然につかまり立ちが始まるように、自分が感じるままの気持ちが受容され共感してもらう経験を積んで、自分の気持ちがわかってくると相手の気持ちに気づいたり、自分の気持ちと折り合いをつけて待ったりゆずったりできるようになります。
    それって子どもが悪いことをしても叱らず、言いなりになるってこと? いえいえ、否定しないで大切にするのは「気持ち」。どう感じるあなたもOKだけれど、行動には制限があることを教えるのがしつけです。
    「せっかく作ってたのを妹が壊しちゃってごめんね。もうちょっとで完成だったのに、悔しいね。でも、妹を押さないで。小さい子はすぐころんじゃうから。妹が痛いのも、ママは悲しい」
    子どもが今感じている気持ちを言葉にしてしっかり受け止めた上で、「ほしくても手に入らないモノがある」「したくてもできないトキや、してはいけないコトがある」ということを、根気強く何度でも繰り返し教えるのは、もちろん大人の責任です。

  • 7月号
    行動の制限は、気持ちの受け止めとセットで

    2歳の達ちゃんが、木製の線路をつないでいます。長く伸びて、輪になりそうもありません。見ていたパパが別の線路をつないで、あっという間に輪にしてくれたその瞬間、達ちゃんは輪になった線路を壊してガンガン投げ始めます。「投げちゃダメ~!」と、あわてるパパ。
    「最近よく物を投げるんですよ。言っても止まらないし、どうしてこんな乱暴なことするんでしょう」と困惑した表情でおっしゃいました。どうしてでしょう?
    そう、達ちゃんは自分で好きなように線路をつなぎたかった。自分の世界を邪魔されたから、怒ったんですよね。達ちゃんは「自分で思うようにやりたい」と主張できるほどに心が成長しているのですが、それをまだ言葉で表現できません。物を投げるという方法で「邪魔しないで!」と訴えたのでしょう。
    親がすることは、①抱え込んで投げる行為を止め、②「邪魔してごめん。自分でやりたかったんだね」と、彼の気持ちを受け止めて言葉にしてあげる。③「でも投げたらダメ。人に当たったら痛いよ」と、してはいけない行動を教え、④落ち着いたところで「わかったね。うれしいよ」などと怒りを収められたことをほめます。 怒りの感情との付き合い方を学ぶ最初の機会を、成功体験に!

  • 8月号
    わが子がしてほしいことは、親がわが子にしてあげよう

    「出先で困っていた時、見知らぬ人に親切にしてもらって助かった。これからは私も、誰にも親切にしようと思う」といった投稿をよく見かけます。してもらってうれしかった経験を積むと、自然と人にしてあげたくなるものです。思いやりのある子に育てるコツは、親がわが子に思いやりのある関わりをして、「してもらってうれしいと感じる経験」をたくさんさせてあげること。
    わが子がミニカーを並べているところに小さい子が来て手を伸ばした瞬間、「来るな!」とばかり払いのけ、それでも手を伸ばす子を思わず叩いてしまったら…。
    「何するの!小さい子には優しくっていつも言っているでしょう!」と厳しく言うのは、わが子の気持ちを考えない「思いやりのない行動」です。
    「ごめんね」と親が相手に謝り、「お友達も欲しいんだって。一つ貸してあげる?」とたずね、NOの反応なら「みんな使ってるんだって。ほかのでもいい?」と相手と交渉する。そしてわが子に、「取られるかと思ってびっくりしちゃったね。でも、人を叩くのは絶対ダメだよ」
    親に気持ちを分かってもらえる安心感を繰り返し経験した子は、親が自分にしてくれたように相手の気持ちを大切にしようと思うようになります。

  • 9月号
    他の親を批判する人は、批判されて育った「つらい人」かもしれない

    前回のハガキを読んで、「そんなことできない」と思われた方が多いかもしれません。だって、相手の親がいるんだもの。周囲には他の親もいるし、叩いた子の気持ちを認めて厳しく叱らないなんて非常識って思われる。そういう投稿を目にすることも度々あるし…。
    でも、もしあなたが他児の遊びに侵入しようとする小さい子の親だったら、相手の親が自分の子を厳しく叱るべきだと思うでしょうか? わが子の気持ちを大切に扱う相手の親を見て、「素敵だな。あんな風にできたらいいな」と思うかもしれません。むしろ相手の子が叱られてしまうと申し訳ない気がして、やられた側が謝る姿もよく見かけます。
    わが子の気持ちを大切にする親を「甘い」と非難する人がいるのは事実です。ご自身が子どものころ、いつも世間の目が優先の親の元で、自分の気持ちを否定されることが多かった人かもしれません。
    「きっと、つらい人なんだ」と、思ってみませんか? 目立つので「みんなそう思ってる」ように感じるかもしれないけれど、たぶん少数派。大多数は、「お互い様」が通じる人たちです。
    もしあなたが他者に批判的になりやすいタイプだとしたら、してもらえなかった子どもの頃の自分を抱きしめ、やさしくいたわってあげてください。

  • 10月号
    「ごめんなさい」は、今は言わせないほうがいい

    子ども同士のトラブルで、わが子が他の子を傷つけてしまったら親が謝りましょう。子どもに形式的な謝罪をさせてはいけません。脳機能の発達段階としてまだ相手の気持ちを想像できない子どもの中では、常に「ボクの邪魔をした」「ワタシに使わせてくれない」相手が悪いと感じているのです。
    相手が泣いたりしたその瞬間には「しまった!」といった感情がわき上がるけれど、そこで「あなたが悪い。謝りなさい」と言われたら、自分の気持ちを無視された悔しさでいっぱいになって、「しまった」という気持ちなんかぶっ飛んでしまいます。
    実は大人だって、たとえば夫と家事分担について話しているうちに激しいバトルになってしまったところに実母が来て、「あなたが謝るべき」と言われたらどんな気持ち? 夫がわかろうとしないからこうなったのに…。納得できないまま表面的に謝ったら、わかってもらえなかった悔しい気持ちがくすぶったまま残って、またささいなことで怒りが爆発します。
    子どもは親が謝る姿を見て、「~が、イヤだったんだね」などと受容され気持ちを分かってもらう経験を重ねてこそ、いずれ「相手もイヤだったんだ」と気づき、非を認めて自発的に謝るという「真の謝罪」ができる日がくるのです。急がば回れ!

  • 11月号
    買わないと言ったら買わない、のだけれど  ~気持ちを受け止め、行動の境界線はゆずらない~

    意欲や好奇心に満ちあふれた幼い子にとって目に入るものすべてが新鮮で、興味を持ったら試さないではいられません。発達段階としてまだ欲求を理性で制御できないので、危険もルールや時間もお構いなし。しつけは、そういう子どもが「思い通りにできる範囲の境界線」を教えること。いわば「牧場の柵」をつくる作業です。子どもは何度も柵にぶつかって、そこに柵があることを覚えます。
    おもちゃ屋さんの前でキャラクターものを欲しがって動かない…そんな時、「いっぱいあるでしょ!」っていきなり怒るんじゃなくて、「お家にあるのとどこが違うの?」などとそれが欲しい気持ちにいったん乗って、「今日は買わない約束だけど、お誕生日には買えるよ。忘れないように写真に撮っておこう」なんて提案してもいい。誕生日に、撮りためた写真を見ながらどれかを選ぶのも楽しいもの。
    気持ちの受け止めをしても動かない時は、笑顔で強制終了(泣いても抱き上げて移動する)もアリ。あきらめて泣きやんだところで、「すごくほしかったのに、がまんできてえらかったね」などと泣きながらでもがまんしたことをほめます。「がまんできた」という経験が、感情をコントロールする力を育てます。

  • 12月号
    広い牧場をつくろう! 「どうしたらやめさせられるか」より、「どうしたらさせてあげられるか」考える

    しつけは、子どもが思いつくまましたいようにできる範囲を区切ること。いわば「牧場の柵をつくる作業」です。子どもはその柵の中(牧場)でいろいろ試し、探求し、実験や挑戦、練習を繰り返して自信や達成感を手に入れ、失敗しても立ち直る力をつけていくのですから、牧場は広い方がいい。つまり制限することは少ないほどいいに決まっています。
    ちょっとしたケガやトラブルは大事な経験。経験してこそ学べることはたくさんあると割り切り、事前に止めないで見守る覚悟を決めましょう。ちょっと危ないことも、親が安全な扱い方を教えて何回か一緒にやってみて「やりたい気持ち」を満たしてあげる方が、隠れて危ないことをするリスクを減らせます。お風呂でシャンプー遊びが止まらないなら、一日分だけ別の容器に移しておくのも手。面倒ですが、毎日怒ってやめさせるよりは気分がいいし、気が済むまでやらせてあげればブームはじきに去ります。集合住宅で床をドンドン叩くのが困るのなら、親もラップの芯でも持ってタンスやフライパンなどを「これはどんな音? こっちは?」などと楽しく叩いて、床以外の物を叩く音遊びに変えてしまうとか、知恵を絞って「ダメ!」と言うことを減らしましょう。

  • 1月号
    気持ちは100%OKだけど、「ダメなものはダメ」

    前のハガキで、ちょっと危ないことや困ることも「どうしたらやめさせられるか」より「どうしたらさせてあげられるか」考え、工夫して、子どもの「~したい」という気持ち(意欲や好奇心)をできるだけ満たしてあげよう、と書きました。ですが、もちろん「絶対ダメなこと」はあります。
    車道に飛び出す、人を嚙むなどの行動は、しゃがんで目線を合わせ、いつもとは違う低い声でゆっくり短く、してはいけないことを本気モードで伝えましょう。言葉の意味がよくわからなくても、大人の真剣さは雰囲気で伝わります。
    暴力や、店の商品を取ったり傷つけたりするといった社会のルールに反することなども、理屈抜きで「ダメなものはダメ」。子どもはまだそのルールを知らないのですから、怒るのではなく「教える」気持ちで抱え込んで止めましょう。気持ちと行動を分けて、怒りや好奇心から思わずやってしまった気持ちはしっかり聞いて受け止め、行動だけを制限するのがコツです。
    発達段階として沸きあがる衝動を抑えることができない子どもに、親が「言うことを聞かせなければ」と焦ると、親も子も「思い通りにならない相手」に苛立って、つらい状況になってしまいます。次回は、そんなときの対処法を考えます。

  • 2月号
    かんしゃく 「心の予防接種」と思って、動じない

    危険な行動や社会のルールに反することはもちろん、テレビやおやつ、寝る時間など、子どもの思い通りにさせるわけにはいかないことは日常生活の中にたくさんあります。たとえばテレビを際限なく見たがるとき、水遊びがてらお風呂掃除に誘うとか、台所に踏み台を置いて野菜を洗ってもらう、古雑誌を破きまくって散らかし、それを集めて球をつくって的当てをするなどなど、テレビやおやつよりおもしろいことに誘うのも手。寝る時間なのに騒いでしまうようなら静かに歌を歌うなど、作戦はいろいろありますが、それでも「思い通りにならないと大かんしゃく」という事態は起こります。
     泣かせておける状況ならそのまま見守り、できない場所ならがっちり抱え込んで、「~したかったね」などと一言だけ気持ちを受け止める言葉を言ったら、あとはただ黙って落ち着くのを待ちます。今後の健康や円滑な社会生活のために必要な大事なことを教えているのですから、「心の予防接種」と思って、どんなに泣き騒がれても優しい気持ちで見守り、動じないことです。そして、あきらめて泣き止んだところで「気持ちを収められたこと」をしっかりほめます。どんな状況でも、気持ちは否定しないことが最重要なポイントです。

  • 3月号
    あなた自身が、あなたの心を守るカウンセラーになろう  ~自分いじめをやめるために~

    怒ったり罰を与えたりして言うことを聞かせるのではなくて、いずれ成長した子どもが自分で考え、判断して適切な行動ができるようにするために、子どもが幼い今、親はどのようにかかわるといいのか考えてきました。
    親にもそれぞれ親に育てられた歴史があって、いけないと思うのに思わず怒鳴ってしまったり、読んだようにしようとすると急ブレーキがかかってしまったり、受け入れられないままセリフのように共感の言葉を言っても子どもの心に響かなかったり、そういうことはとてもよくあります。
    自分を責めてつらいとき、鏡の前に座って「後悔できる自分、しない方がよいと分かっている自分」を受容し、共感する言葉をかけてみましょう。
    「ダメって分かっているのに怒りが止まらなくなって、つらかったね」
    イライラするあなたも、100%OK。感じてはいけない気持ちは、ありません。もしご自身が子どものころ、自然に湧き上がる子どもらしい気持ちを理不尽に封じられた記憶がよみがえったら、その頃の自分に今の自分から声をかけるのもいい。
    「いやだったね」「あなたが理不尽に耐え、生き抜いてくれたから今の私がいる。ありがとう」
    むずかしいと感じたら、どうぞ専門の支援者(カウンセラーなど)に相談してください。

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