あつみ幼稚園園長
荒川 育子
聞き手
ようちえん通信編集部
あきもとさちこ
荒川 開園したのは昭和41年(1966年)です。それまで小学校の教員を17年間務めていました。その頃の小学校では、村から来る子のほとんどは、幼稚園も保育園も経ずに入学してきたので、しつけはもちろん、文字や数も学校で1から教える状況でした。そんな小学生を見ていて、入学以前の幼児期の大切さを肌で感じていましたから、幼稚園教育への想いは膨らんでいきましたね。
荒川 私自身、植物が大好きで園庭に草花をたくさん植えました。一方、夫である元理事長は樹木が好きだったんですね。色とりどりの草花と木々の緑が豊かに育つ幼稚園にしたいと思いました。そこには虫や鳥も集まってきます。自然を見つめる子どもの眼には「やさしさ」が生まれてくるんです。教育の中でまず伝えたかったことはこの「やさしさ」でしたね。さらに『知育』にも力を入れました。
荒川 小学校からより、幼児の頃からはじめた方が簡単に学べることがいろいろあります。漢字仮名まじり絵本もその一つです。世の中には漢字、ひら仮名、カタカナ、といろんな文字があります。幼児期からそんな文字環境に慣れることで、小学校で漢字嫌いにもならないのではと思ったからです。幼稚園の延長で、6年生まで漢字カードを使って勉強したという子がいましたよ。
荒川 教員だった頃、生徒を連れて校外へよく出かけていました。姿川を散策したり、根古屋城(聖山公園)にも出かけました。生徒はそれがとても楽しかったようです。それが今は、幼稚園の『園外保育』につながっています。年長になると毎月のように出かけるので、子どもたちは、この地域の文化や自然についてかなりのことを学んでいると思いますよ。
荒川 『子どもを見る眼』を身につけてほしいですね。子どもをしかることはできるのですが、ほめることはどうも苦手のようです。参観や行事のお手伝いに幼稚園にきたら「1つでも良いところを見つけて帰り、ほめてあげて」とよくお話します。良いところを認めて伸ばしてあげる方が、子どもだってやる気が出ると思うんですよ。
荒川 私は、何でも相談できる園長になりたいと思っているんです。同じ母親として、嫁として気持ちはわかっているつもりです。お母さん同士が交流できる機会もあつみは多い方だと思っています。子育ての不安や悩みが多い時代だからこそ、一人で抱え込まないでみんなで支え合っていきたいですね。副園長の智篤先生は認定カウンセラーの資格を持っているので、どんな相談にも対応してくれるはずです。