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子育てハガキ通信

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  • 7月号
    行動の制限は、気持ちの受け止めとセットで
    7月号

    行動の制限は、気持ちの受け止めとセットで

    2歳の達ちゃんが、木製の線路をつないでいます。長く伸びて、輪になりそうもありません。見ていたパパが別の線路をつないで、あっという間に輪にしてくれたその瞬間、達ちゃんは輪になった線路を壊してガンガン投げ始めます。「投げちゃダメ~!」と、あわてるパパ。

    「最近よく物を投げるんですよ。言っても止まらないし、どうしてこんな乱暴なことするんでしょう」と困惑した表情でおっしゃいました。どうしてでしょう?

    そう、達ちゃんは自分で好きなように線路をつなぎたかった。自分の世界を邪魔されたから、怒ったんですよね。達ちゃんは「自分で思うようにやりたい」と主張できるほどに心が成長しているのですが、それをまだ言葉で表現できません。物を投げるという方法で「邪魔しないで!」と訴えたのでしょう。

    親がすることは、①抱え込んで投げる行為を止め、②「邪魔してごめん。自分でやりたかったんだね」と、彼の気持ちを受け止めて言葉にしてあげる。③「でも投げたらダメ。人に当たったら痛いよ」と、してはいけない行動を教え、④落ち着いたところで「わかったね。うれしいよ」などと怒りを収められたことをほめます。 怒りの感情との付き合い方を学ぶ最初の機会を、成功体験に!

  • 6月号
    感じてはいけない気持ちはない。しつけるのは行動だけ
    6月号

    感じてはいけない気持ちはない。しつけるのは行動だけ

    先月のハガキで、一見わがままや自己中心に見える子どもの気持ちを否定しないで大切に受け止めることが、相手の気持ちに配慮できるようになる「はじめの一歩」と書きました。安定したお座りができるようになると、自然につかまり立ちが始まるように、自分が感じるままの気持ちが受容され共感してもらう経験を積んで、自分の気持ちがわかってくると相手の気持ちに気づいたり、自分の気持ちと折り合いをつけて待ったりゆずったりできるようになります。

    それって子どもが悪いことをしても叱らず、言いなりになるってこと? いえいえ、否定しないで大切にするのは「気持ち」。どう感じるあなたもOKだけれど、行動には制限があることを教えるのがしつけです。

    「せっかく作ってたのを妹が壊しちゃってごめんね。もうちょっとで完成だったのに、悔しいね。でも、妹を押さないで。小さい子はすぐころんじゃうから。妹が痛いのも、ママは悲しい」

    子どもが今感じている気持ちを言葉にしてしっかり受け止めた上で、「ほしくても手に入らないモノがある」「したくてもできないトキや、してはいけないコトがある」ということを、根気強く何度でも繰り返し教えるのは、もちろん大人の責任です。

  • 5月号
    心の発達を知ろう! 相手の気持ちに配慮することは、今できるようにさせなくていい
    5月号

    心の発達を知ろう! 相手の気持ちに配慮することは、今できるようにさせなくていい

    赤ちゃんの体の機能がお座りからつかまり立ち、一人歩きへと発達していくように、心も順を追って少しずつ発達します。ザックリ言うと、①感じるままの気持ちを大人にたくさん共感してもらうことで、自分の気持ちがわかってくる。②共感してもらった自分の気持ちと照らし合わせて、相手の気持ちを想像できる。③相手の気持ちを考え、自分の気持ちとの葛藤に自分で折り合いをつけて、待ったりゆずったりできる、という流れです。

    3歳以前は、発達段階として自分の気持ちも相手の気持ちもよくわかっていません。おもちゃの取り合いで「取っちゃダメ」「貸してあげなさい」と叱るのは、まだお座りができない子に「歩きなさい」と言うようなものなので、適切ではありません。

    人が持っているものが欲しい気持ちも、全部大事で一つも貸せない気持ちも、「気になるねぇ ほしくなっちゃったか~」「どれもみんな使ってるんだね」などとそのままに受け止め共感してあげたうえで、適切な行動を繰り返し教えることが、自分の気持ちがわかり、いずれそれと照らし合わせて相手の気持ちを想像できるようになる「はじめの一歩」です。どんな気持ちも否定しないで、しつけるのは行動だけ。次回から、その方法を考えます。

  • 4月号
    言うことを聞かせることは、しつけにならない  じゃあ、どうすればいいの?
    4月号

    言うことを聞かせることは、しつけにならない  じゃあ、どうすればいいの?

    自己主張が始まる2~3歳ころのしつけは、子どもの気持ちも大事とは思うけれど大人の思いや社会のルールに合わないことも多くて、むずかしいですね。

    「もう~何回言わせるの。いい加減にしなさい!」とつい声を荒げて、「ああ、またやっちゃった」と後悔しても、次の日には同じことの繰り返し。「怒鳴っちゃいけないのは分かっているけど、おだやかに言っても聞かない子のしつけはどうしたらいいんですか?」など、とても多いご相談です。

    今この場で言うことを聞かせるために、親が怒鳴ったり、おどしたり、罰を与えたりすることは現在すべて体罰として法律で禁じられています。子どもが自分で考え、自分で葛藤を乗り越える力がつかないし、思いを否定された怒りがたまって攻撃的になったり、人がどう思うかばかり考えて自分の気持ちで行動を選べない子になったり、よい結果につながらないことが多くの研究で証明されているからです。「言うことを聞かせるしつけ」は、裏目に出ることが多いのです。

    「今この場で」ではなく、同じことを何度でも、時間をかけてていねいに、でも堂々巡りではなく少しずつらせん階段を上るように、「子どもの生きる力を育てるしつけ」を来月以降のハガキで考えていきたいと思います。

  • 3月号
    まるで別人に⁈ キレなくなった子どもたち
    3月号

    まるで別人に⁈ キレなくなった子どもたち

    食卓全体をミネラルアップしていくと、体調だけでなく精神面にもうれしい変化がみられてきます。

     4歳の太郎くん(仮名)は、2歳頃からイライラして泣き叫んだり、お友だちに噛みついたり、食べ物のこだわりが強いなど、心配な場面が続いていました。そこで、まず今まで通りの食事に、すりごま、煮干し、昆布、トビウオなどを粉末にした天然だしの粉を「かけたり混ぜたり」からスタートしてみると……。1か月ほどで、大声で泣き叫ぶことが減り、お友だちとのトラブルも少なくなり、お手伝いまでするようになったのです。保育園の先生からは「まるで別人のようです!」と驚かれるほどになりました。

    以後、たくさんのお子さんのうれしい体験は広がり、最年少で取り組んだ18か月の男の子しょうちゃん(仮名)も、ゆっくりだった言葉も出てくるようになり、激しいイライラもおさまっていきました。同時にお母さんもミネラルをしっかりとることで体調が良くなり、心にもゆとりが生まれたそうです。

    日々の子育てに奮闘されるお母さんこそ、一番先にとってほしい「ミネラル」。1杯のスープからでも手軽に長く続けてほしいと思います。お子さんにとって一番の栄養は「お母さんの笑顔」ですから。

  • 2月号
    ミネラルで大人も子どもも元気度アップ!
    2月号

    ミネラルで大人も子どもも元気度アップ!

    心と体の健康に欠かせない「ミネラル」。実際にミネラルを意識した食生活を始めた方々からは、さまざまなうれしい体験談が届いています。

    「偏食が治った」「食のこだわりがなくなってきた」「甘いものへの依存がなくなった」など、お子さんの食にまつわる変化も多いです。味覚はミネラルの中でも「亜鉛」と関係があり、亜鉛を含むミネラル食材をしっかりとることは味覚の偏りを改善するきっかけになります。

    また、わかりやすい変化としては、「平熱が上がった」という声もあります。みなさんの平熱は何度くらいでしょうか?体内の酵素がしっかりはたらき、免疫力がきちんとはたらくためには、365分以上、お子さんの場合は37度近い平熱が望ましいといわれています。最近では平熱が35度台という方も少なくありませんが、「だしのふりかけをかけたり、毎日味噌汁を飲み始めたら、平熱が上がってきた」という報告も。低体温が改善すると、免疫力もよくはたらくようになります。

    「長年の便秘が解消!」という方も多くいらっしゃいます。ミネラルをしっかり補給することで自律神経が整うこと、さらにオリーブオイルや発酵食品との併用で腸内細菌のバランスが整うためと考えられます。

    《今月のミネラルレシピ》

    切り干し大根のシュウマイ

    切り干し大根のよさを活かし、子どもたちが違和感なく食べられるよう細かく刻んでシュウマイに。ときにはこんな食べ方、いかがですか?

  • 1月号
    ミネラルリッチな「つくおき」のススメ
    1月号

    ミネラルリッチな「つくおき」のススメ

    忙しいとき、疲れたときに便利な作り置きのおかずも、ミネラル満点にしておきたいところ。常備菜としてミネラル豊富な「つくおき」があれば、ご飯を炊くだけで十分な食卓が整います。

    昆布や煮干しをだしとして使ったあとは、捨てずに、醤油とみりんで煮ておくと、便利な「だしがら佃煮」ができます。ここにごまや海苔を足しておくと、おいしさもミネラル量もさらにアップします。

    また、煮干しやごまに多く含まれる「カルシウム」は、お酢や梅干し、レモンなどと一緒にとると、体に吸収されやすくなります。小さめの煮干しを、酢とエクストラバージンオリーブオイルを同量に混ぜたところに入れていく「煮干しのオイルサワー漬け」。できてすぐからおいしく食べられて、冷蔵庫で保存もできます。漬け汁もドレッシングとして使う、スープに垂らすなどして使いましょう。食卓にも酢の物を1品足すと、ミネラルの吸収がよくなります。そのほか、にんじんとナッツ、ごま、粉末だしなどのミネラル食材で作る「にんじんのミネラルしりしり」、基本のミネラルふりかけのアレンジとして「干しエビとあおさ海苔のふりかけ」「ひじきとごまのふりかけ」も子どもたちに人気です。

    味噌のねりねり田楽

    粉出汁、味噌、エキストラバージンオリーブオイルを加えてよく練りお湯を加えて溶くだけで、ミネラル豊富な味噌汁に。この「味噌のねりねり」と名付けたベースを田楽のたれにつかってみました。

  • 12月号
    簡単!体よろこぶ「ミネラルおやつ」
    12月号

    簡単!体よろこぶ「ミネラルおやつ」

    体にためておくことができないので、毎日、毎食、こまめにとりたいミネラル。「ミネラル豊富なおやつはどんなものがありますか?」というご質問もよくいただきます。

    まずは「おやつ=お菓子」ではなく、4回目の食事!と考えましょう。特に幼いお子さんはまだ1食の量が少ないので、「おやつ」も大事なミネラル補給のタイミングと考えましょう。

    「おやつは量を少なくした食事」ととらえて、ミネラルふりかけを混ぜたご飯を小さく握った「ミネラルおむすび」、ご飯を少しだけつぶしてまるめ、きなこをまぶした「簡単おはぎ」、味噌に粉末だしとオイルを混ぜた「味噌のねりねり」にお湯を注いて海苔をプラスした「即席味噌スープ」などはいかがでしょう? どれもキッチンにある材料でさっと作れて満足感があるので、忙しいときにもおすすめです。

    また、もちもちの食感がたのしい「じゃがいも餅」にすりごまや青海苔を加えた甘辛だれをかけたり、甘酒をゼラチンでかためてゼリーにしても、簡単でほんのり甘いおやつになります。栗、干し芋、アーモンドいりこなどは保存がきくので常備しておくと便利。「おやつ=4回目の食事」と考えると、おやつのレパートリーはぐんとひろがりますよ。

    ひじきときくらげのふりかけ

    子どもに人気のミネラルふりかけ。いろいろなアレンジがたのしめます。今回は、ひじきやきくらげ、きな粉などでパパッとふりかけをつくってみましょう。

  • 11月号
    調理法や食べるタイミングにも気をつけて
    11月号

    調理法や食べるタイミングにも気をつけて

     私たちの心と体の元気に欠かせない「ミネラル」。毎日の食卓に無理なく取り入れていく方法を、第1ステップの「かける・混ぜる」、第2ステップの「食卓全体」での取り組みとして紹介してきました。

    さて、ミネラルリッチな食卓づくりは、食品選びに加えて「調理法」も大事なポイントになります。料理を作るとき、下茹でやあく抜きをしすぎていませんか? 野菜の下茹でやあく抜きをすると、加工食品に使われる水煮食品と同じで、せっかくのミネラルがたくさん流れ出てしまいます。
     野菜はよく洗って皮ごと使う、下茹でやあくぬきが必要な場合もなるべく短時間にとどめて、食材に含まれているミネラルが失われないようにしましょう。野菜はゆでるよりも蒸す、重ね煮にするなど、ミネラルを逃さない調理法がおすすめです。

    また、ミネラルは体にためておくことができないので、毎食ごとにこまめにとりたいもの。ミネラル補給のタイミングも大事で、「朝起きてすぐの時間」と昼食と夕食の間の「おやつタイム」は、特に体がミネラルを欲する時間帯です。朝一杯の味噌汁やミネラルたっぷりのおやつで必要なミネラルを体にしっかり補給して、1日を元気に過ごしましょう。

    《今月のミネラルレシピ》

    ドライフルーツ入りかぼちゃサラダ  ←クリック

    陽の恵みで、ミネラルがぎゅっと閉じ込められたドライフルーツ。甘みも増して、レーズンを砂糖代わりに使うことも可能です。かぼちゃサラダで、その味わいを試してみて。

     

  • 10月号
    簡単ミネラルアップ② ミネラル食材と良質のオイルを食卓に
    10月号

    簡単ミネラルアップ② ミネラル食材と良質のオイルを食卓に

    前回ご紹介した「かける・混ぜる」に慣れてきたら、次は献立にいろいろなミネラル食材を取り入れて、さらに幅広いミネラル補給にチャレンジ!

    小魚(ししゃも、煮干し、じゃこなど)、海藻(海苔、わかめ、もずくなど)、蕎麦、雑穀、栗、小松菜、切り干し大根、納豆、ドライフルーツなどミネラル豊富な食材を、主菜や副菜、おやつにも積極的に取り入れましょう。

    また、もうひとつ注目したいのが「オイル(油)」。オイルには、細胞膜の元気を保ち、ミネラルの吸収や老廃物の排泄をスムーズにするはたらきがあります。良質のオイル(低温圧搾のエクストラバージンオリーブ油やゴマ油など)を加熱しないで使いましょう。味噌と粉末だしとオイルを混ぜた「ミネラル味噌」をうつわに入れ、お湯を注げば簡単味噌スープに。このスープと粉末だし入りのおむすびで、ミネラル満点の朝食になります。

    さらに、腸内細菌を整える「食物繊維」(オクラ、里いも、納豆、もずく、豆、芋など)や味噌、甘酒、麹、ぬか漬けなどの「発酵食品」も積極的に取り入れたいところ。ここに酢や梅干しをプラスすれば、ミネラルの吸収がさらによくなります。食卓全体のミネラルアップ!できることから始めてみてくださいね。

    《今月のミネラルレシピ》

    煮干しのサワーオイル漬け  ←クリック

    コリコリ、シャクシャクした歯応えもたのしいれんこんとナッツ。豊富なミネラルを摂り入れるのにもぴったりな食材です。アレルギーがなければ、ぜひ食卓に並べてみましょう

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

  • 9月号
    簡単ミネラルアップ① まずは「かけるだけ、混ぜるだけ」から
    9月号

    簡単ミネラルアップ① まずは「かけるだけ、混ぜるだけ」から

    ミネラル不足を防ぐには、毎日の食事をミネラルたっぷりにすることがいちばんの基本。でも、食の取り組みというと「難しそう」「今、子育てで忙しくて……」という声も。では、最初は簡単に「かけるだけ、混ぜるだけ」から試してみませんか?

    まずは、ご飯を炊くときに、雑穀(あわ、ひえ、黒米など)を「混ぜて」みましょう。雑穀にはマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

    ミネラル豊富な食材、昆布や煮干しを細かくして、料理の「だし」として使うのもおすすめ。お子さんに自然なだしの味を知らせつつ、そのまま具材としても食べることでミネラル補給もできて一石二鳥です。

    もっと手軽にするなら、市販の煮干、あご(トビウオ)、昆布などの粉末をブレンドして「自家製天然粉末だし」を作り、今まで通りの食事に「かける・混ぜる」だけでもOK。ミネラルアップに取り組む幼稚園では、給食に天然粉末だしをふりかけがわりに「かけたり混ぜたり」という取り組みが始まっています。

    なお、市販の「粉末だし」を使う場合は、必ず表示を確認して、天然素材だけで作られたもの(うまみ成分や化学調味料を含まないもの)を選びましょう。

    《今月のミネラルレシピ》

    れんこんとナッツのきんぴら  ←クリック

    コリコリ、シャクシャクした歯応えもたのしいれんこんとナッツ。豊富なミネラルを摂り入れるのにもぴったりな食材です。アレルギーがなければ、ぜひ食卓に並べてみましょう

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

  • 8月号
    食品のミネラル不足。その原因は?
    8月号

    食品のミネラル不足。その原因は?

    栄養バランスが良さそうな市販のお弁当やお惣菜。でも、含まれるミネラルの値を測ってみると、多くの場合、国が定める基準に届いていないという結果が。どうしてこんなことが起こるのでしょう?

    現代食のミネラル不足には、いくつかの理由が考えられます。1つめは、「水煮食品が増えていること」。たとえば、にんじん、ごぼうなどの入った野菜の水煮パックの場合、野菜を水で煮て、何度も洗い、パックに詰めるという加工の過程で、野菜に本来含まれているミネラルが流れ出てしまっています。こうした水煮食品は手軽で安価なので、市販のお弁当や惣菜、レストランや給食などでもよく使われています。また、生の野菜をカットして販売している「カット野菜」の場合も、ミネラルは3割、ビタミンC7割減ってしまっています。

    2つめは「精製しすぎた食品」。白砂糖、精製塩、精製された油などは、製造の過程で食品に含まれているミネラルまで取り除かれてしまっています。

    さらに、添加物の問題もあります。「リン酸塩」は加工食品の「プリッ、ふわふわ、とろとろ」の食感を出すためによく使われていますが、腸でミネラルを抱えて外に一緒に出してしまう作用があるので注意しましょう。

    《今月のミネラルレシピ》

    豆サラダ  ←クリック

    現代食に不足しがちなミネラルも含み、良質なたんぱく源として活用したいお豆。 彩りもたのしい豆のサラダをご紹介しましょう。

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

     

  • 7月号
    現代食はミネラル不足⁉
    7月号

    現代食はミネラル不足⁉

    ミネラルは私たちの健康に大切な栄養素。でも、「現代の食生活では、ちゃんと食べているつもりでも必要なミネラルが不足しているおそれがある」と聞いたら、「え?」「どうして?」と心配になりますよね。
    現代食というと、どのような食事を思い浮かべるでしょうか? たとえば、コンビニ弁当やレトルト食品、冷凍食品、お惣菜など、「早くて便利で簡単!」が定番の加工食品。これらの加工食品の中にミネラルがどのくらい含まれているかを実際に測ってみたところ、国が定める食事摂取基準に届いていないものが多いことがわかりました。
    栄養バランス良く思える幕の内弁当が1食で取りたいミネラル量を満たしていなかったり、彩りのよいお惣菜もカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが大幅に不足していたり。現在、120品目ほどの調査が進んでいますが、ほとんどの加工食品にミネラル不足が起きているという結果が出ています。

    肉や魚、野菜などがバランス入っているのに、なぜミネラルの含有量が少なくなっているのでしょうか?そのカギを握る食品加工の問題について、次回お話しましょう。

    《今月のミネラルレシピ》

    いわしのトマト蒸し  ←クリック

    ミネラルと一緒に摂りたいのが良質なオイル。とくに青魚の油は、脳の血流アップや炎症を抑える良質なオイルです。ミネラルたっぷりのいわしを丸ごとトマトや玉ねぎと一緒に蒸し焼きにすると、 いわしから出る良質な油を野菜が吸収して、うま味もアップ!

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

  • 6月号
    体と心を整えるミネラルのはたらき
    6月号

    体と心を整えるミネラルのはたらき

    私たちの生命活動に欠かせない「ミネラル」。ミネラルは、骨格をつくったり、血管を丈夫にしたり、発育を支えるなど実にさまざまなはたらきをしていますが、中でも特に重要なのが「酵素を活性化する」という役割です。
    私たちの体内には「酵素」というものがあり、食べたものを消化する、それを代謝させて体内ではたらかせるなど、生命活動に深くかかわる働きを担っています。体の中では、まるで歯車がかみ合うかのようにさまざまな代謝が起きています。この歯車を円滑にまわしていくのが「酵素」、そして「酵素」がはたらくために「補因子」として必要になるのがミネラルなのです。

    食事からミネラルをとると、酵素が活性化して、代謝がうまく回るようになり、心も体も整います。ミネラル不足で起こる症状として、カルシウム不足で神経過敏、マグネシウム不足でうつ症状など。ミネラルと精神の関係は、栄養学の専門書でも明記されています。

    《今月のミネラルレシピ》

    ミネラル味噌スープ  ←クリック

    生命活動を支えるミネラルですが、どうしたら簡単に、日常的に摂れるようにできるかを考えてできたレシピです。特に育児に追われるお母さん、お父さんに飲んで欲しい!そう願い、とてもシンプルでミネラル豊富なスープになりました。

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

  • 5月号
    ミネラルってなあに?どうして大切?
    5月号

    ミネラルってなあに?どうして大切?

     「疲れやすい」「イライラしやすい」「めまいを起こす」「寝起きが悪い」「足がつる」……このようなことはありませんか? ミネラルは全身の生命活動にかかわるので、不足するとさまざまな不調につながります。
    たとえば「めまい」「立ちくらみ」「肩こり」「頭痛」「抜け毛」「集中力の低下」「イライラ」は、どのミネラルの不足で起こるでしょう?これらは「鉄」不足のときに出やすい症状です。「鉄」はあさりやしじみなどの貝類や、赤身肉、ほうれん草、納豆などに多く含まれています。鉄は酢やかんきつ類などビタミンCを含む食材と一緒にとると吸収しやすくなります。
    「足がつる」「まぶたがピクピクする」「疲れやすい」「眠りが浅い」などは、マグネシウム不足が疑われます。マグネシウムは、筋肉の弛緩にかかわり、たくさんの酵素のはたらきにも影響します。海苔や蕎麦、ナッツ類、豆腐、納豆などに含まれます。
    健康な食生活のキーワードとしても知られる「ま・ご・わ・や・さ・し・い」の食材(ま=豆類、ご=ごま、わ=わかめなどの海藻、や=野菜、さ=小魚など魚介類、し=しいたけなどのきのこ類、い=芋類)は、さまざまなミネラルを含む食材としておすすめです。

    《今月のミネラルレシピ》

    にんじんと煮干しの炒めもの  ←クリック

    骨ごとまるごと食べられる小魚は、カルシウムはじめいろいろなミネラルの摂取のためにぜひ食卓に頻繁にのせてほしいものです。カリウムやカロテンなどが豊富なにんじんといわしの煮干しの炒めものは、子どもにも食べやすいひと品です。

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

     

  • 4月号
    えっ?食べものと心はつながっている?!
    4月号

    えっ?食べものと心はつながっている?!

     「まさか食べもので?」「子どもがキレなくなりました」「子どもだけでなく、私のイライラも減ってきました」……これは、いつもの食事を少しだけ「ミネラルアップ」してみたご家庭から届いた驚きの声です。

     ミネラルって、いったい何でしょう?ミネラル(無機質)とは、おなじみのカルシウムや鉄をはじめ、亜鉛、銅、マグネシウム、カリウムなど100種類以上の元素の総称。たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンに並ぶ、五大栄養素のひとつです。
    このミネラル、体の中でわずか約5%と含有量は少ないのですが、私たちの健康を左右するとても大切な栄養素です。骨を強くするにはカルシウム、貧血予防には鉄、味覚障害には亜鉛などはよく知られていますが、体を作ったり調子を整えたりするだけなく、イライラを和らげるなど心の状態にも深くかかわり、体と心の「司令塔」のようなはたらきをしていることがわかっています。
    なぜ、ミネラルが心にも影響するのでしょう?どのような食材に含まれているのでしょう?幼い子どもが食べやすい方法は?これから1年間、家族みんなの元気を支えるミネラルのお話、おすすめミネラルレシピなどをお届けしていきます。

    《今月のミネラルレシピ》

    基本のミネラルふりかけ  ←クリック

    子どもに人気の「ミネラルふりかけ」。お酢を加えるのは、ミネラルの吸収をよくするため。ご飯にかけたり、混ぜておむすびにしたりスープや麺類のトッピングにも活用できます。

     

    食学ミネラルアドバイザー 国光美佳

     

     

     

  • 12月号
    知っていますか?「STマークとSGマーク」
    12月号

    知っていますか?「STマークとSGマーク」

     幼い子どもがいろいろな物をなめたり口に入れたりするのは、「最も感覚が発達している口を使って、物の形や感触を確認しているから」と言われています。多くの物に触れることは子どもの成長過程にとって大切ですが、それは危険と隣り合わせでもあります。

     特に、小さな部品が使われているおもちゃは、子どもが部品を飲み込む誤飲事故が多く発生しています。おもちゃの購入や使用時には、必ずおもちゃの対象年齢を確認しましょう。

     子どもが使用する製品には安全基準が設けられています。

     「STマーク」(エスティーマーク、Safety Toyの略)は一般社団法人日本玩具協会が14歳以下用の玩具に対して、玩具安全基準に適合している製品に表示しています。部品が外れにくい、のどに詰まらない大きさなど、安全性を配慮した設計がされています。

     「SGマーク」(エスジーマーク、Safe Goodsの略)は一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準に適合していることを示していて、ベビーカーや子ども用ベッド、抱っこひも、すべり台などが対象製品となっています。製品選びの際の参考にしてください。

     

    西武文理大学 茂手木明美

  • 11月号
    子ども目線でチェックして「やけど」を防ごう
    11月号

    子ども目線でチェックして「やけど」を防ごう

     おうちの中には、やけどの危険があるものがあちこちにあります。子どもの目線になって部屋の中を確認してみましょう。大人はちょっと不便でも、子どもの安全を最優先にした部屋作りを工夫しましょう。

    ●お湯の入ったポットや電気ケトルはコードを引っ張ることで倒れ、熱湯がかかることがあります。コードが子どもの手の届かない高さか確認しましょう。

    ●炊飯器は、ごはんが炊けるときの蒸気に子どもが手を伸ばしてやけどをするケースが多く見られます。置き場所に気をつけましょう。

    ●テーブルクロスやランチョンマットは、子どもが引っ張って、上に置いた熱いお茶、みそ汁、ラーメンなどがこぼれてしまうおそれがあるので、使わないようにしましょう。

    ●床に置くタイプのストーブやヒーターは必ず安全柵で周囲を囲み、子どもの手が届かない工夫をしてください。

    ●電気カーペットや床暖房は、長時間同じ姿勢でいると、子どもの薄い皮膚はダメージが起きやすく低温やけどのリスクがあります。長時間の使用は避けましょう。加湿器も加熱式タイプは熱くなり危険です。

    ●アイロン、ドライヤー、ヘアアイロンなどは使ったら、すぐに片づける習慣をつけましょう。

     

    西武文理大学 茂手木明美

  • 10月号
    「外出時」のヒヤリハットに注意
    10月号

    「外出時」のヒヤリハットに注意

     子どもはママやパパとのお出かけが大好き!でも、子ども連れでのお出かけには「ドキッ」「ヒヤッ」とする場面も少なくありません。

     子連れ外出で危険な場所はたくさんありますが、その中でも注意したい場所NO.1と言えるのは「駐車場」です。チャイルドシートから降ろすと、子どもは解放感から走り出します。車が死角となって小さな子どもはドライバーから見えにくいため、大きな事故につながるおそれもあります。

     スーパーや大型商業施設など日常的に訪れる場所では、大人の気もゆるみがちになります。店舗内では人やカートとの衝突事故にも気をつける、迷子防止だけでなく連れ去りのリスクを防ぐためにも子どもから目を離さない、一人でトイレに行かせないなども心がけましょう。

     事故を防ぐには、幼いころからの習慣づけがとても大事です。「外出先では必ず手をつなぐ」を当たり前の「習慣」にしておけば、その分だけリスクは減らせます。もし、子どもが手を振り払って走り出そうとしたときは、まず行動を止めて、その上で「危ない」ということを言葉や態度で繰り返し伝えます。子ども自身が「何が危険か」を判断できるようになるまで、根気よく言い聞かせていきましょう。

    西武文理大学 茂手木明美

  • 9月号
    楽しい「外遊び」のための安全対策
    9月号

    楽しい「外遊び」のための安全対策

     子どもの成長に伴って、外で遊ぶ機会も増えていきますね。2歳ごろになると子どもの動きも活発になり、時にハラハラするような遊びをすることもあります。

     子どもの外遊びの事故で最も多いものは、すべり台やブランコ、ジャングルジムなどの遊具での事故です。遊具は正しい使用方法で遊ぶことが事故を防ぐ原則ですが、「すべり台を反対側から登り、すべってきたお友達と衝突する」といった事故は多く起こっています。子どもは遊びの中で別の遊び方を発見し、危険と思わずそれを試したがるものなので、大人の見守りは欠かせません。遊びながらふざけたりはしゃいだりして事故が起こる場合もあるので、6歳以下では大人がそばで見守りながら遊ばせるようにしましょう。

     かばんや水筒のひも、パーカーのフードなどが遊具に絡まる事故もあります。遊具で遊ぶときは危険につながるものを身に付けていないか確認しましょう。

     外遊びの道具としては、キックスケーター、キックバイクなどの車輪付き乗り物も人気がありますが、ヘルメットの装着に加えて、正しい使い方を子どもに十分に伝える、危険の少ない場所を選ぶ、大人が付き添うなど、安全に遊ぶための配慮をしっかり行いましょう。

     

    西武文理大学 茂手木明美

  • 8月号
    転ぶと危険!「のど突き事故」
    8月号

    転ぶと危険!「のど突き事故」

     子どもが口に何かをくわえたまま転倒しケガをする「のど突き事故」。あまり知られていませんが、1〜6歳ごろに多く発生しています。

     のど突き事故の原因として、最も多いものは「歯ブラシ」です。歯みがきをしながら歩き回るという行為は私たち大人も無意識にやりがちですが、子どもは大人に比べてとても転びやすいので、特に注意が必要です。歯ブラシをくわえたまま転倒して口腔内やのどにケガをした、場合によってはのどの奥に刺さった歯ブラシが脳まで達するような重篤な事故につながるケースもあります。歯みがきをしながら歩くことがないよう、子どもが小さなころから家族みんなで習慣づけしていきましょう。

     歯ブラシ以外では、箸、フォーク、スプーンなどでも同じような事故が起きています。箸やフォークなどを口に入れたまま、食卓から離れて歩いたり、遊んだりすることのないよう、気をつけましょう。

     また、アメリカンドッグ、焼き鳥、アイス、綿あめなど、棒のついた食品も同様です。食べ歩きしたくなるものばかりですが、食べながら転ぶと生命にかかわる事故につながるおそれも。お祭りなどの際にも、「必ず座ってゆっくり食べる」をお約束にしたいですね。

     

    西武文理大学 茂手木明美

     

  • 7月号
    知っておきたい「誤飲・誤嚥」のリスク
    7月号

    知っておきたい「誤飲・誤嚥」のリスク

    「誤飲」とは、口にいれてはいけないものを誤って飲み込んでしまうこと。「誤嚥」とは、食べ物などが気管、気道に入ってしまうこと。どちらも子どもに起きやすく、生命にかかわることがあります。

    【誤飲】タバコ、硬貨、ボタン電池、洗剤、医薬品、化粧品、石油製品(灯油など)、おもちゃの部品など、生活の中にあるすべてのものが原因と成り得ます。
    誤飲事故が多いのは何でも口に入れてしまう生後半年~1歳頃ですが、大人の使っているものに興味を持ち真似をしたがる23歳の頃は、マニキュアの除光液や吸い殻を入れたペットボトルによる誤飲事故なども起こっています。子どもの手が届く場所に危険なものを置いていないか、常に目配りが必要です。

    【誤嚥】誤嚥しやすい食品としては丸くてつるんとしているもの(白玉だんご、うずら卵、プチトマト、ぶどう、アメ玉など)、かみ砕きにくいもの(ピーナツ、豆類、グミ、こんにゃくゼリーなど)などがあげられますが、それ以外の食品(パンなど)でも、丸のみすれば窒息のリスクがあります。
    また、遊んだり歩いたり寝転んだりしながら食べるのも誤嚥事故につながるNG行為。「食べる時は座って」を習慣づけましょう。

    西武文理大学 茂手木明美

  • 6月号
    気をつけよう!「水の事故」
    6月号

    気をつけよう!「水の事故」

    毎年、暑くなってくると海や川、プールなどでの水の事故に関するニュースが聞こえてきます。水とふれあうのは楽しい経験になりますが、同時にそこには事故のリスクもあります。特に、旅行やおでかけ先では大人も子どもも開放的な気分になるため、注意が必要です。
    水辺での子どもの行動は一瞬たりとも気を抜くことができません。子どもだけで水に入ることは避け、必ず大人がそばで見守るようにしましょう。特に、川は大人でも危険の予測が難しく、浅瀬で遊んでいたはずが、状況が一変して数秒で流されてしまう……といったケースも起こります。水遊びの際には安全面を考え、キッズ用ライフジャケットの着用をおすすめします。ちなみに小型船舶乗船時には桜マークのついたライフジャケット(国土交通省が定めた安全基準に沿ったもの)の着用が義務化されています。乗船時に限らず、海水浴や川遊び、釣りなど水辺のレジャーの際には、子どもの生命を守るための事前準備をしっかりと行いましょう。
    プールは「足がつけば大丈夫」と思いがちですが、子どもは浅い水深でも溺れることがあるので、大人が近い場所にいることを心がけましょう。

    西武文理大学 茂手木明美

  • 5月号
    「転落」のリスクから子どもを守ろう
    5月号

    「転落」のリスクから子どもを守ろう

    子どもがどこかから落ちてしまう「転落」は、日常的に発生しやすい事故の一つです。ちょっとした小さな段差から生命にかかわるような高所まで、生活のさまざまな場面に思わぬ危険があります。
    ソファやベッドは日常的に転落が起きる場所です。子どもは日々発達していて、昨日できなかったことが今日できるようになるもの。「うちの子はまだ寝返りができないから大丈夫」ではなく、「今日、寝返りができるようになるかもしれない」という意識を持つことが事故を防ぎます。子どもをソファに寝かせたときはそばを離れない、ベビーベッドから一瞬でも離れる際は必ず柵を上げる、大人用ベッドはベッドガードを購入するなどの対策を取りましょう。
    階段やベランダも、好奇心いっぱいの子どもにとって魅力的な場所です。階段で遊ばせない、ベランダには子どもが登れるようなものを置かないなどの対策と同時に、「危ないね」など乳幼児期から繰り返し伝えて、子どもが少しずつ理解できるよう声をかけていきましょう。
    また、スリングやベビーカー、ショッピングカートにも転落の危険はあります。必ず正しい使用法を知ること、守ることで事故防止を心がけましょう。

    西武文理大学 茂手木明美

  • 4月号
    子どもの育ちには危険がいっぱい
    4月号

    子どもの育ちには危険がいっぱい

    乳幼児期の子どもはとにかく好奇心が旺盛。身の回りのすべてのことに関心を示します。それは子どもが大人になっていく過程において、知識や経験を得て豊かに成長していくためにとても大切なことです。
    でも、子どもはまだ「何が危険か」が分かりません。「これをやったらどうなるか」と予測する力も未熟です。自分の身を自分で守れない子どもに代わって子どもを危険から守るのは、私たち大人の役目であると言えます。
    寝返り、おすわり、ハイハイ、ひとり歩き、階段の昇り降り、走る、自転車に乗る……赤ちゃんから幼児期にかけては、発達とともに「できること」がどんどん増えます。それとともに起こりやすい事故も変わります。それぞれの子どもの興味や性格によっても気を付けるポイントは異なります。
    子どもの予期せぬ事故を防ぐのは簡単なことではありません。でも、周囲の大人が子どものことをよく知り、生活の中にあるさまざまな危険について学ぶことで、子どもが事故にあうリスクを減らすことはできます。
    子どもの興味や好奇心を健やかに育みつつ、子ども自身の危険を避ける力もも育てていくという視点も持ちながら、子どもの事故とその予防について一緒に学んでいきましょう。

    西武文理大学 茂手木明美

  • 3月号
    「まっ、いいか」のゆとりも大切に
    3月号

    「まっ、いいか」のゆとりも大切に

    実際にお片づけを始めてみると、子どもがやらなかったり、うまくいかないことがたくさんあるでしょう。そんなとき、「何度言ったらわかるの!」など感情にまかせて叱っても、子どもはやる気をなくすだけ。

    うまくいかないときは、まず心を落ち着けて事実を確認し、その上で子どもをフォローしてあげましょう。「タオルが落ちてるよ。洗濯カゴに入れてきてね」「洗面所の蛇口がしまってなかった。お水がもったいないからしめよう」のように、子どもにしてほしいことを具体的に伝えます。幼い子どもほどやったつもりになっているので、気がつかなかったことを教えてあげるのです。あとからではなく、「その時、その場で言う」が大事です。

    子どもに声をかけてやらせるより、親がやってしまった方が早い? でも、手を貸すのはできるだけガマン。少しだけ距離をとって、見守ってあげてください。そして励ましという力を貸してあげてくださいね。

    頑張っても目に見える成果がないと、親はがっかりして疲れます。でも、成果は出ていないように見えても、行きつ戻りつしながらも子どもは伸びていきます。子育てには「まっ、いいか」のゆとりも大切。完璧を目指さずに、根気よく続けていきましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

     

  • 1月号
    「お片づけって楽しい」という体験をたっぷりと
    1月号

    「お片づけって楽しい」という体験をたっぷりと

    幼児期はすべてのことが遊び感覚で楽しめてしまう時期。親もいっしょに片づけながら、スッキリした心地よさや楽しさを体験させて、お片づけのクセをつけていきましょう。

    たとえば、お片づけタイムになったら、子どもの好きな曲を流して「この曲が終わるまでに、おもちゃ箱に入れちゃおう」「競争だよ。よーい、どん!」。こんな小さな工夫をプラスするだけで、お片づけがめんどうなものから楽しい時間になります。

    そして、子どもがお片づけをしたら、できたことをことばにしてほめてあげましょう。「いい子だね」のような漠然とした言い方ではなく、「○○できたね」と具体的な事実を言うことが大事です。ミニカーをおもちゃ箱にしまえたら「ミニカー、きれいに片づけたね」、お菓子の袋をゴミ箱に捨てたら「テーブルの上がスッキリしたわ」と、できたことを具体的にほめるのがポイントです。小さなことでも認めてもらえれば、達成感を感じてやる気につながります。

    また、子どもは親に喜んでもらうのが好きなので、「コップを流しに持っていってくれたのね。助かるわ」「靴をそろえてくれてありがとう」「スッキリしたね。うれしい!」と、ねぎらいや感謝の気持ちを伝えるのもおすすめです。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 1月号
    「子どもがしまいたくなる収納」を工夫してみる
    1月号

    「子どもがしまいたくなる収納」を工夫してみる

    モノをしまう場所がすぐにわかれば、元に戻しやすいものです。子どもがしまいたくなる収納アイデアについて考えてみましょう。

     

    ・収納場所にイラストやシールを貼る…パッと見てわかるので、子どもでも迷うことなく、楽しくモノをしまえます。5歳のEくんは、ポケモンのカードやグッズを入れる引き出しにポケモンのシールを貼ってもらったら、自分で引き出しにしまうようになったそうです。

    ・「片付いて収まっている完璧な状態の写真」を貼っておく…パッと見るだけで何をどうしたらいいのかわかるので、しまい方にブレがなくなり、元の位置に戻すクセがついてきます。

    ・中身が見えるケースを活用…おもちゃは半透明のケースにしまうと、いちいち開けてみなくても便利。なくしてはいけない細かい部品や大事にしておきたいモノは、中身の見えるファスナー付きプラスチック袋がピッタリです。

    ・リビングには子ども専用の「とりあえず箱」を置く…散らかっているものはとりあえずここへと決めておけば、子どもの手でもあっという間にスッキリ。急な来客も安心です。

     

    「出しっぱなしにしていると、捨てちゃうよ!」という脅しことばよりも、楽しく片づけられる工夫を親子で考えてみましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

     

  • 12月号
    お片づけ力を高める「分類」のトレーニング
    12月号

    お片づけ力を高める「分類」のトレーニング

    「頭の中と引き出しの中とは同じ」という話を聞き、ドキッとしたことがあります。情報を整理して頭の中にしまう能力と、雑多なモノを片づける能力には相関関係があります。どちらも整理整頓する「分類」の能力が必要だからです。

    お片づけ力をアップするために、分類のトレーニングをしてみましょう。子どもにとって、分類とは「仲間探し」。子どもの好きなモノやおもちゃを集めて、子どもといっしょに遊び感覚で仲間探してみましょう。カードはカードでまとめて輪ゴムで止め、宝石発掘でとった石は小箱の中に、プラレールはカゴの中へ「仲間ごと」に分けます。

    分類のトレーニングは日々の生活の中でもできます。たとえば資源ごみの分別です。ビン、アルミ缶、ペットボトルを「このカゴには何を入れるのかな?」と聞いて、子どもに分類させてみましょう。

    取り込んだ洗濯物を「同じものを一緒にしてみようね」と口添えして、下着、上着、くつ下、タオルに分けてもらうのもいいですね。もちろん、着る人ごとに分ける分類でもOK。家族の名前やマークを貼ったカゴを人数分用意して、しまってもらえばお手伝いになります。「助かった!」「ありがとう」の一言が継続のカギですよ。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

     

  • 11月号
    お片づけ名人への道は3ステップ
    11月号

    お片づけ名人への道は3ステップ

    片づけとは、ものをあるべきところに戻すこと。とてもシンプルです。ただ、それが習慣になるのは、そう簡単なことではありません。お片づけが一人できるようになるまでの「お片づけ名人への3ステップ」をご紹介しましょう。食べた後の片づけ、おもちゃの片づけなど、毎日繰り返し行うことがいいでしょう。

    ステップ1 親がやり、子どもはそばで片づけ方を見ている

    子どもの「できない」は、「やり方がわからない」という場合も。まず、親が「こういうふうにやるのよ」とお手本を見せましょう。

    ステップ2 親がリードしながら、親子でいっしょに片づける

    「使ったコップはここに置こう」「ぬいぐるみのおうちはどこだっけ?」。親子でいっしょに片づけながら、片づけの楽しさや気持ちよさを体験しましょう。

    ステップ3 子どもが片づけるのを、親は見守る。

    ここでの親の役目は、子どもが自分でやりとげるのを見守りながら待つこと。手や口を出したくなっても、ぐっとガマンです。

    大事なことは「子どもの様子をよく見て、その子のペースに合わせる」ということ。もし、うまくできなければ、一つ前の段階に戻りましょう。成果を出そうと気負わずに、子どもに合わせてゆっくりと進めてくださいね。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 10月号
    片づけクセがつく「やったね!スタンプ」
    10月号

    片づけクセがつく「やったね!スタンプ」

    お片づけ力をつけるには、苦手意識を植え付けないことです。大人もそうですが、いきなり難易度の高いことを求めるとやる気がなくなります。子どもが「かんたん!」と思えることを、少しずつさせてみましょう。

    片づけクセをつけるために「やったね!スタンプ」のワークをご紹介します。

    • 子どもと話し合って、子どもが一番取り組みやすく、きっとやりそうなことを1つ選んで決めます。(例えば、夕方になったら遊んでいたものをおもちゃ箱にしまう、など)
    • できたら親がチェックして、カードにスタンプを押します。「やったね!」ということばと笑顔でほめてあげましょう。最後までやって、「やった!」「できた!」という喜びを感じることが大事です。
    • 「スタンプが30個たまったら、子どもが行きたい場所に連れて行ってあげる」など、ごほうびがあるとモチベーションがあがります。

    このワークをするときのポイントは、あれもこれもと欲張らないこと。小さな成功体験を積んで、子どもに「自分だって片づけられる!」という自信をつけてあげることが目的です。スッキリした気持ちよさを味わいながら、少しずつお片づけできるエリアを広げていきましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

     

     

  • 9月号
    お片づけの指示は「具体的に、わかりやすく」
    9月号

    お片づけの指示は「具体的に、わかりやすく」

    人とのコミュニケーションで、「言ったつもり」「そのくらいわかってくれているはず」と思っていても、伝わっていないことはよくあるものです。大人でさえそうなのですから、相手が子どもならなおさらのこと。子どもは知らないことがいっぱいありますし、大人の目線とは違うところを見ていたり、思いもよらない発想をすることもあります。

    子どもにお片づけの指示を伝えるときは、やるべきことを具体的に伝えることです。「①なにを ②どこに ③どんな順序で ④なんのために」の4つを意識して話してみてください。

    たとえば食事の後片づけをするとき。「食べ終わったら、お皿を両手で持って、流しの横に運んでね」「お箸はあぶないから、とがった方を下か横に向けて持つこと」「おかずの残りはママ(パパ)がやるから、あなたはマヨネーズを冷蔵庫に入れてね」「最後に、テーブルの上をこのふきんでふくこと。周りから始めて、次に真ん中をふいていくこと。きれいになると気持ちいいよね」

    子どもにも理解しやすいことばで、ゆっくりと伝えてあげてください。「はじめに…」「次は…」と手順がわかることばをかけながら説明すると、子どもに伝わりやすいでしょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 8月号
    片づけやすい環境作りは親子で相談しながら
    8月号

    片づけやすい環境作りは親子で相談しながら

    片づけやすい環境作りは基本的に親の役目ですが、「モノのおうち」を決める作業などは、ぜひ親子でいっしょにやってみましょう。特に子どもの持ち物やおもちゃなどについては、子どもの意見も聞きながら置き場所を考えて決める方が、子どもが自主的に片づけるようになります。

    Aさんは、幼稚園児のSちゃんに「今、一番遊びたいおもちゃはどれ?」と聞いてみたところ、Aさんが予想していたものと違う答えが返ってきました。子どもの気持ちと親の思いは違うことがあるのです。Sちゃんと話し合って、一番遊ぶおもちゃの置き場所を棚の中段に決めました。あまり興味のなくなったおもちゃは押入れの奥の方に入れることにしました。

    こんなふうに子どもを巻き込みながらの環境作りは、一見遠回りに見えて、実は子どものお片づけ力を育てる近道です。「遊ばないおもちゃは、どれ?」「あなたはどう思っているの?」 今の気持ちや興味のあることを教えてもらうつもりで、子どもに聞いてみましょう。何を取っておき、何を捨てるのか、大切なものがわかってきます。

    新しいモノが増えたときにも、「どの仲間かな?」と考えさせることで、今あるものと関連づけながら置き場所を決めることができますよ。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

     

  • 7月号
    「モノのおうち」を決めましょう
    7月号

    「モノのおうち」を決めましょう

    お片づけのしつけをスムースに行うために、大人が準備しておくことがあります。それは「子どもが片づけやすい環境を作っておくこと」です。

    たとえば、園から帰ってきた子どもがかばんや帽子を置く場所を決める、園からのおたよりを入れる箱を子どもが入れやすい場所にセットする、片手でおもちゃをしまえる棚や箱を用意する、などです。

    全てのモノに「おうち」(定位置)を決めましょう。おうちを決めないままにしておくと、モノがはみ出す原因になります。しまう場所選びは、片づけを成功させるカギです。

    場所選びのポイントは3つ。①適切な置き場所であること(使う場所、または近いところがベスト)、②しまいやすく取り出しやすいこと、③スペースにゆとりがあること。

    「おうち」があっても、それが子どもの手が届かない場所だったり、導線からはずれていたりすると、お片づけがめんどうになってしまいます。

    片づけやすい環境が用意されていれば、しまうのはたった数分ですみます。キチンとおさめられる場所が確保されていれば、子どもにとって片づけはイヤなことではなく、むしろ喜んでやることに変わります。子どもから進んで動くようになるために、モノのおうちを決めましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 6月号
    大切なのは「子どもの行動を促すことばがけ」
    6月号

    大切なのは「子どもの行動を促すことばがけ」

    ある人は、小さいころ親から「片づけなさい! どうしてあなたはこんな簡単なことができないの?」と言われ続けているうちに、「片づけ=私にはできないこと」とインプットされてしまったとか。親の叱責を無視しておけば、親は文句を言いながらもきれいに片づけてくれることに気づいてからは、ますます自分から片づけようなんて思わなくなったそうです。

    「まったく、もう!」と言いながら、結局はやってあげていませんか? 「捨てちゃうよ!」と言いながら、もったいなくて捨てられずに親が片づけていませんか? こういう叱り方は小さいうちは多少効き目があっても、小学生くらいになれば子どもは親の本気を見抜きます。親はしつけのつもりでも、実は日頃のうっぷんをただ吐き出しているだけ。子どものお片づけ力を育てるには逆効果です。

    子どもにかけるあなたの「ことば」を振り返ってみましょう。「また、散らかしている!」「何度言ったらわかるの」というような文句ではなく、「棚に置いてきて」「靴下はカゴの中にいれること」と具体的に伝えたり、「もうすぐ夕飯だから、テーブルの上をかたづけてね」とタイミングを知らせましょう。「子どもの行動を促すことばかけ」、考えてみませんか?

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 5月号
    「自分のことは自分で」は自立への第一歩
    5月号

    「自分のことは自分で」は自立への第一歩

    米国人の友人が我が家に遊びに来たときのこと。子どもがお風呂から出てきて、タオルをリビングに置きっぱなしにしました。私が「カゴに入れなさい!」と言っても子どもは知らんぷり。「まったく」と言いながら私が片づけているのを見て、友人から「なぜ子どもがやることを、あなたがしてしまうの?」と聞かれました。「自分のことは自分で」と言いながらも、見かねて手を出してしまっていたことに、ハッとしたものです。

    私が子育て時代を過ごした米国では、「自分のことは自分でしようね」ということを3歳くらいからおだやかに伝えていました。飲んだコップをキッチンに運ぶ、遊んだおもちゃを元に戻す、使ったタオルを洗濯機に入れる…それらはすべて「自分のことは自分で」なのです。

    もちろん、いきなり「自分でやりなさい」と突き放すのではなく、最初は親がお手本を見せ、手伝い、見守り、励ましながら、少しずつ自分できるようにと子どもを促していきます。

    自分のことは自分でする力は、大人になったから身につくものではなく、小さいころからの積み重ねがあってこそ。今現在のわが子が無理なくできることを見つけて、「自分のことは自分でしようね」と応援してあげましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 4月号
    「子どもは片づけないもの」からスタート
    4月号

    「子どもは片づけないもの」からスタート

    たいがいの親は「お片づけのできる子」になってほしいと願っているでしょう。でも、電車好きの子は大好きなプラレールをいつまでもそのままにしていたいし、怪獣好きの子どもはいつだって勢ぞろいさせて眺めていたいのです。

    ママやパパは「きれいに片付いたお部屋は気持ちがいい」と思うけれど、そもそも子どもは部屋が散らかっていても困りません。大好きなおもちゃや物に囲まれている場所が居心地がいいのです。お片づけをしない子どもにイライラしないためにも、まずは「子どもは片づけないのが普通」というところからスタートしましょう。

    では、「片づけない子ども」を「自分ですすんで片づける子ども」に育てるにはどうしたらいいの? 親が知りたいのはそこですよね。

    「片づけなさい」と叱りつけてやらせるのは簡単ですが、それでは自分ですすんで片づける力は身につきません。

    子育てのゴールは「自立」です。親にアレコレ指図されて動く「親ルール」ではなく、自分で考えて行動する「じぶんルール」が身についた子どもに育てることが目標です。「自分の身の回りの始末や片づけが自分でできる力=お片づけ力」を、これから1年間かけて親子でゆっくり育てていきましょう。

    NPO法人 JAMネットワーク代表 高取しづか

  • 令和2年12月号
    言葉を伸ばしていくには ~自己表現が進んでいく道筋
    令和2年12月号

    言葉を伸ばしていくには ~自己表現が進んでいく道筋

     言葉の発達が心配な子がいます。その一方で、おしゃべりは達者だけど、切実なホンネの気持ちの表現は苦手という子も増えています。この両者のタイプのお子さんに共通な課題は、「自己表現をどう伸ばしていくのか」ということです。

     自己表現の基礎はボディーランゲージ、つまり、体の動き(あるいは顔の表情)による気持ちの表現です。泣きそうになった時や、怖い思いをした時など、自己表現が得意な子は、親(または信頼できる大人)に身を寄せてきたり、顔をこちらに向けて表情で気持ちを表現したりします。

     ところが自己表現が苦手な子の場合は、親のところに来ないで、かえって距離を置き、一人になろうとします。あるいは、関係のないことを喋りまくって、ホンネの気持ちを隠そうとします。そんなときは、体に触れてあげたり、顔をのぞきこんだりしてあげたりして、ボディーランゲージ的な自己表現を導くとよいでしょう。

     泣いている子には、「泣いていては、わからない!」とつっぱねるより、泣きたい気持ちをそのまま認めてあげる方が、ホンネの表現を励ますことになるのです。

  • 令和2年11月号
    子どものチャレンジ精神をはぐくむ ~《自立》と《甘え》の意外な関係
    令和2年11月号

    子どものチャレンジ精神をはぐくむ ~《自立》と《甘え》の意外な関係

     第一線で活躍している最近の若者のメンタルの強さは、目を見張るものがあります。将棋の藤井聡太くん、卓球の張本智和くん、囲碁の仲邑菫さん…。実はこの3人には共通点があります。小さい頃、すごい泣き虫だったのです。

     「行き詰まったら、親(または信頼している大人)に泣きついたり、助けを求めればいい」と思っている子どもには安心感があります。そういう後ろ盾があると、チャレンジがかえって意欲的になるのです。

     「親に頼ってはいけない。泣きついてはいけない」と、無理にがんばってしまう子は、必要な手助けを求めようとせず、自滅してしまいます。または反対に、「チャレンジの途中で、泣きつくのはみっともない」と思い、最初からチャレンジを放棄して、すべて親にやってもらおうとしてしまうタイプの子もいます。こういった子どもたちがまず学ぶべきは、「自立すること」ではなく、「甘えること」「泣きついたり、助けを求めたりすること」ですね。

     〈自立〉に向かっているように見えても、実は、どんどん〈孤立〉しているだけ、というお子さんが増えてします。実は、「甘え上手こそが、自立上手」なのです。

  • 令和2年10月号
    子どもとの遊び方のポイント ~遊んであげるより、遊んでもらおう
    令和2年10月号

    子どもとの遊び方のポイント ~遊んであげるより、遊んでもらおう

     まだまだ、〈かまって!症候群〉から抜け出せない年代のお子さん。外での活動の疲れを発散するため、今まで以上にかまってもらいたがる場合もあります。

     そんなときストレスを溜めずに相手をするには、親としての責任感を少し横に置いて、童心に戻ってみることです。「親として、ちゃんと遊んであげなくちゃ!」ではなく、心の中の〈子どものわたし〉とわが子が一緒に遊ぶという感じ。「遊んであげる」というより、「遊んでもらう」というモードの方が、柔らかい感じになり、子どもも嬉しいのです。

     「遊びの中で、何かを身につけさせよう」と思う必要はありません。なんの役にも立たなそうな、くだらない遊びでもいいのです。なぜなら、「一緒に同じ時間を過ごして、笑顔を交わしあう」という楽しい経験は、人間関係の基礎だからです。遊びが失敗しても、親子の小競り合いがあっても、それはそれで必要な体験なのです。

     なによりも、童心に戻って楽しむ、わが子とのじゃれあい遊びは、親の心の癒しにも最適です。キャッキャッと一緒にふざけた後は、きっと心がスッキリするはずです。

  • 令和2年9月号
    子育てのエネルギーを補給する ~元気の素は、すぐ目の前にある
    令和2年9月号

    子育てのエネルギーを補給する ~元気の素は、すぐ目の前にある

     ストレスを溜めやすいタイプのママやパパは、〈与える〉ことに夢中で、〈受け取る〉ことを忘れているかもしれません。目の前にあるエネルギーは、五感(見る・聞く・触れる・味わう・匂いを嗅ぐ)によって受け取れるのです。

     たとえばわが子と触れあうとき、子どもの体のふわふわな感触を味わってみると落ち着きます。抱っこや添い寝のときも、体感を味わったり、子ども特有の体の匂いをかいでみると、ホッとします。子どもの泣き顔だって、「なんとかしなくては!」と焦らず、じっくり眺めてみると、意外に可愛くて笑えたりするものです。

     イライラが止まらないのは、たいてい、頭ばかりがフル回転して、五感が機能していないときです。食べるときは、しっかり味を感じてみる。お風呂では、お湯の感触やシャンプーの香りを味わってみる。掃除や食器洗いの時も、作業に専念してみる。こんなふうに、今この瞬間の目の前の世界を、五感を働かせながら過ごしていると、いつのまにかストレスが減っていくから不思議です。

     子育てをしながら、家事をしながらの、〈ながら自分癒し〉をぜひ試してみてください。

     

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 令和2年8月号
    自分癒しのセルフワーク ~自分を抱きしめる時間をもつ
    令和2年8月号

    自分癒しのセルフワーク ~自分を抱きしめる時間をもつ

    子育ての中で、親自身の気持ちを落ち着けていくためのポイントは、心の中にいる〈子どものわたし〉に目を向けてあげること。短くてもいいですから、抱きしめてあげる時間をもつとよいでしょう。

    ❶一人で落ち着ける時間と場所を見つけ、ゆったりと座ります。目を閉じて、ゆっくりと3回深呼吸。そのあとは、普通の呼吸に戻し、目は閉じたまま、少しボンヤリとした感じでいます。

    ❷胸に手のひらを当て、触れている部分の温かさを、じんわりと感じてみましょう。胸のところにいる〈子どものわたし〉をヨシヨシしてあげるつもりで。

    ❸〈子どものわたし〉に向かって、心の中で声をかけてあげてもいいですね。「いつも、よくがんばっているよ」とか、「泣かずに頑張るのは大変だね」とか、〈子どものわたし〉に響く言葉を探してみてください。

    ❹途中で涙が出そうになったら、それは〈子どものわたし〉の泣きたい気持ちですから、「泣きたい時は、泣いていいよ」と言ってあげてください。泣くことは心の自浄作用ですから、できれば止めない方がいいのです。

     

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 令和2年7月号
    親のイライラが止まらないときー私の中の《子どものわたし》
    令和2年7月号

    親のイライラが止まらないときー私の中の《子どものわたし》

     親がイライラせず、落ち着いた気持ちで子どもと接することは、子育てで大切なことです。でも、これって、けっこう難しいですよね。気持ちをうまく整えていくコツは、心の中の〈子どものわたし〉を想像してみることです。

     子育てをしていると、まるで子どものように「泣きたい」「ヤダヤダ言いたい」「甘えたい」という気持ちが湧いてくることがあります。これは、〈子どものわたし〉の言い分だ、と考えるとよいのです。

     心の中の〈子どものわたし〉に対して、「泣くな。いつも笑顔で!」「ヤダヤダ言わずに、親としてがんばれ!」「人に甘えず、自分だけで乗り切れ!」と、いつも我慢を要求していると、かえって〈子どものわたし〉にストレスが溜まります。その状態で、子どもの気持ちを受けとめようとすると、親の心の中の〈子どものわたし〉が「泣くんじゃない!甘えるんじゃない!私だって我慢しているんだから」と騒ぎ出すのです。

     心の中の〈子どものわたし〉に、「泣きたい時は、泣いていいよ」「時には、甘えさせてもらっていいよ」と声をかけてあげてください。きっと落ち着いてくるはずです。

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 令和2年6月号
    子どもはどうしてヤダヤダ言うの? ー《ダダこね》で子どもが学ぶもの
    令和2年6月号

    子どもはどうしてヤダヤダ言うの? ー《ダダこね》で子どもが学ぶもの

     「なんでも言うことを聞く素直な子」を目標にした子育ては、そのうち行き詰ってしまいます。子どもの「ダダこね」には成長的な意味があるからです。たとえば子どもは、イヤ!という表現を通して、集団参加に耐えられる自己表現力を身につけていきます。また、自立に向かう不安を、ダダこねによって吐き出し、心の安定を取り戻そうとします。さらに、度の過ぎたダダこねを親に止められる中で、気持ちの自己コントロールを覚えていきます。

     ダダこねへの対処は、まず、子どもの心の中の葛藤を知ること。口ではダダをこねる子どもも、本当はどう行動すべきか、意外にわかっているもの。「ちゃんと行動したい」という気持ちと「ヤダヤダ言いたい」という気持ち、正反対の二つの気持ちが心の中で戦っているのです。

     ですからポイントは、自己主張やストレス発散としてのヤダヤダを認めつつも、お兄さん(お姉さん)らしい行動を後押ししていくこと。つまり、「ヤダヤダ言いながらでいいから、頑張ろうね」「泣きながらでいいから、我慢しようね」という接し方がベストなのです。ぜひ、チャレンジしてみてください。

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 令和2年5月号
    子どもはどうして泣くの? ー《泣き》に秘められた意味
    令和2年5月号

    子どもはどうして泣くの? ー《泣き》に秘められた意味

     子どもが笑顔でいてくれると安心。でも、泣きだしてしまったときは困りますね。ところが泣くことは、子どもの成長にとって必要なことなのです。

     子どもの泣きには2種類あります。ひとつめは〈要求の泣き〉。「おっぱいちょうだい」「寂しいから抱っこして」など、泣くことによって要求を伝えます。ふたつめは〈ストレス発散の泣き〉。不安や緊張、恐怖など、心にたまった感情やストレスを泣くことによって吐き出すのです。

     言葉によって要求が伝えられる幼児では、多くは〈ストレス発散の泣き〉です。だとしたら親は、「私はいったい、どうすればいいの?!」と慌てる必要はありません。なぜなら、〈ストレスの解消〉という一番重要な仕事は、子ども自身がしっかりと進行中なのですから。あわてて泣きやませず、「心ゆくまで泣いていいよ」と一緒にいてあげたり、抱きしめてあげたりすればいいのです。そうして心の痛手から立ち直ったら、子どもは自然に泣きやむはずです。

     ひと泣きした後の子どもの顔って、なぜか輝いているとは思いませんか? 心にたまったストレスを吐き出し、すっきりするからなのです。

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 令和2年4月号
    子育てのピンチは、チャンス
    令和2年4月号

    子育てのピンチは、チャンス

    子どもの笑顔を見るのは楽しいもの。つい親の方も、笑顔になりますね。でも、「どうして、こうなるの?」「いったい、どうすれば?」と悩んでしまうこともあります。親としての責任感がドッと肩に乗り、ストレスでいっぱいになるときも…。でも、だいじょうぶ。子どもには意外に知られていない〈自己成長力〉があるのです。

     たとえば、子どもが泣くと困ってしまいますが、だいじょうぶ。泣くことは心の浄化作用なので、〈泣き上手〉な子ほど、成長が安定していくのです。また、〈甘え上手〉な子ほど、自立への足取りがしっかりしていくものです。

     「子育てハガキ通信」では、そんなお得なミニ情報を、毎月、お届けしていきます。きっと、〈子育てのピンチ〉を〈子育てのチャンス〉に変えていける親力が、自然に身についていくことでしょう。

     また、ママやパパが心に余裕をもって、落ち着いた気持ちでいられることは、子育ての大きなポイントです。そこで、心の疲れやイライラの悪循環から抜けだし、ストレスを解消していくためのコツや、一人でできる簡単な〈ミニワーク〉も、ぜひご紹介していきたいと思います。

    子育てカウンセラー 萩原 光

  • 3月号
    その子に合ったおやつの食べ方をしよう!
    3月号

    その子に合ったおやつの食べ方をしよう!

    幼児期における「おやつ」は、大事なエネルギーや栄養素、水分を補う食事の一部。第4の食事とも言われますね。

    ただ、おやつは必ずしも必要なものとは限りません。幼児期は体格や運動量、食欲など個人差がとても大きいもの。1日の食事の中でおやつを位置づけてあげましょう。

     

    おやつを与える場合は、次の食事に影響しない程度の量で、エネルギーに変わりやすく消化しやすいおにぎりやいも類などがおすすめです。

    スナック菓子などのジャンクフードは、エネルギー、塩分、糖分、脂肪の摂り過ぎになりやすく、毎日食べ続けるとココロとカラダへの影響が大きいので習慣化しないように気をつけたいもの。食べる時は、1回分の量を小皿に取り分け、袋ごと与えないのがコツです。

     

    おやつを欲しがる子に欲しがるだけ与えていては、食事に影響が出て、生活リズムも乱れます。外遊びや室内でもできる体遊びで気分転換をしたり、家事のお手伝いをしてもらうなど、食べること以外のワクワクすることへ誘ってみましょう。

    また、「お腹が空いた!」は、なんだか退屈、ママに構ってもらいたいというサインということも。一緒に遊ぶ時間を増やしてみたら、おやつの催促も減るかもしれませんよ。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 2月号
    味覚の発達のカギは3歳までの舌育て
    2月号

    味覚の発達のカギは3歳までの舌育て

    乳幼児期は非常に敏感で繊細な舌を持ち、味覚の発達のピークは3、4歳と考えられています。また、10歳までの味の記憶が、その後の味を感じる基礎になるとも言われています。

    この時期に強い甘味や塩味、化学調味料などの食品添加物が含まれる食品の味を覚えてしまうと、どぎつい単調な味を「おいしい!」と感じる舌を作ってしまいます。

    「離乳食や子どもの食事の味付けは、薄味が基本」と言われるのも、こういう理由から。最初から強い味を覚えてしまうと、味に対する感受性が鈍くなり、さらに強い味を求めるようになってしまうのです。

     

    乳幼児期にはまず、やさしく穏やかな、「素材の旨味(うまみ)」を覚えさせましょう。

    おすすめは、「水出し昆布水」。水1リットルに昆布10グラム(10㎝角)を入れて、冷蔵庫で一晩置くだけで、旨味成分であるグルタミン酸たっぷりのおいしい昆布水(だし)ができます。グルタミン酸は実は母乳にも非常に多く含まれています。赤ちゃんは生まれてすぐに旨味と出会っているんですね。

     

    味覚は白いキャンバスに絵を描くように発達していくもの。

    食べ物のおいしさは、さまざまな味が複雑に絡み合って作られます。

    上手に舌育てをして、食べることが大好きになってもらいましょうね!

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 令和2年1月号
    よく噛んで食べるお口を育てよう!
    令和2年1月号

    よく噛んで食べるお口を育てよう!

    ママもお子さんもよく噛んで食べていますか?
    いくら体に良いものを食べても、きちんと消化吸収されなければ意味がありません。噛むことによって、まず口の中の食べ物をかみ砕き、胃や腸の中での消化・吸収がスムーズになり、消化器官の発達も促されます。
    子どもの消化器官は大人よりも未熟です。
    子どもの体の機能を発達させるためには、噛むことはとても大事なのです。よく噛んで食べるお口を育てるには、まず大人がよく噛んで食べること。子どもは親のマネをしながら育つもの。親の食べ方は子どもの食べ方を作るものです。最初の3口は20、30回噛むなどお手本を見せてあげましょう。
    また、前歯でかじり、噛み切り、奥歯でしっかり噛むこと、口を閉じて噛むことも大事です。
    口を閉じて噛むことで、噛む力・噛む回数も大きくなります。口を閉じて食べられているか、確認してみましょう。
    噛むことを意識して野菜は大きめに切る、繊維に沿って切るだけでも歯ごたえが残ります。
    味付けが濃いとあまり噛まなくてもおいしく感じて飲み込んでしまうので、素材の甘味や旨味を生かした味付けにしましょう。
    調理の工夫や使う食材によって、自然と噛む回数が増えるようにしていきたいですね。

    ★おすすめレシピ
    かぶりついて食べてね!簡単ローストチキン

    https://ameblo.jp/sanshokukenbi/entry-12425005665.html

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 12月号
    発酵食品で腸内環境を整えよう!
    12月号

    発酵食品で腸内環境を整えよう!

    「腸は最大の免疫器官」と言われていることをご存知ですか? 腸内環境を整えることは免疫力を高めるだけでなく、お通じの改善、美肌効果、アレルギー症状の予防・軽減、ストレス軽減など、体にも心にも良い影響をもたらします。

    3歳頃までに腸に定着した菌は、あまり変化せずに持ち続けるとか。このころまでに腸内細菌のバランスを整えておくことが望ましいということですね。

     

    腸内環境を整えるためには、まず「善玉菌を増やすこと」。

    納豆や味噌などの発酵食品は善玉菌を多く含んでいます。これに善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を含む食品を組み合わせると、より効果的に腸内環境を整えることができます(例/玉ねぎときのこの味噌汁など)。

    日本にはすばらしい発酵食品がたくさんあります。特に、味噌は日本が誇るスーパーフード。「味噌汁は朝の毒消し」ということわざがあるように、温かい味噌汁は胃腸を温めて活発化させ、体内の老廃物や毒素を排出・分解するデトックス力の高いものです。さらに栄養素の吸収を良くする酵素、毒素を貯めにくい体を作るメラノイジンも豊富に含まれています。これだけのパワーを取り入れない手はありませんよね。

    幼児期から伝統的な和食をしっかり食べて、腸内環境を整えていきましょう。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 11月号
    旬のものを食べるといいことがいっぱい!
    11月号

    旬のものを食べるといいことがいっぱい!

    栄養バランス、彩り、食べやすさなどを日々考えながら、ママは毎日の食事作りに励んでいることでしょう。

    子どものカラダとココロが育つ食事作りのポイントの1つは、「旬のものを使うこと」。

     

    旬のものは、太陽と大地の恵みを吸収して育っているので、生命力がとても高く、そのエネルギーをいただいて私たちの心と体は作られていきます。

    今は一年中さまざまな食べ物を食べることができますが、旬のものはその時期に体が必要とする栄養素を多く含み、体の調子を整えるはたらきがあります。

    また、旬のものを食べることは、免疫力や抵抗力を高め、丈夫な体を作ることにもつながります。

     

    季節感あふれる食事を作っていると、おのずと栄養バランスも整ってきます。旬の食材を通して季節を感じることができるので、子どものココロと味覚も育てていくことができます。

     

    子どもは毎日違ったおかずや品数の多い食事を望んではいません。「ママの味、匂い」を感じることで安心して食べることができるのです。

    おにぎり1つでも良いです。ママが握ったおにぎりに旬のものをたっぷり入れた具だくさんの味噌汁を添えれば、子どものおなかも心も満足!

    手間はかけなくても、愛情はたっぷりかけた食事作りをしてみてくださいね。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

     

  • 10月号
    ストレスフリーな食卓でカラダもココロも元気に!
    10月号

    ストレスフリーな食卓でカラダもココロも元気に!

    毎日の食卓、ママはリラックスして食事ができていますか?

    ニコニコ笑顔で、子どもと一緒に食べることができていますか?

     

    実は、ストレスやイライラがいっぱいの食卓は、栄養の吸収が悪くなります。

    早く食べなさい!  好き嫌いしないの! お口を閉じて食べなさい!

    こんな風に言われながらの食事は、緊張感が続く状態になります。

     

    緊張した状態では交感神経がはたらき、きちんと体に栄養が吸収されず、腸内環境にも悪影響を与えてしまいます。

    たとえ、どんなに体に良いとされる食べ物を食べたとしても、ストレスを感じながら食べていたら意味がないのです。

     

    家事に、育児に、仕事に、ママは毎日、本当に忙しい!

    でも、子どものココロとカラダを元気にするためには、短い時間でも良いので、子どものそばに座って、目を合わせ、会話をしながら一緒に食べてみてください。

    穏やかな気持ちで食べると、身体が栄養をしっかり吸収できるようになります。

     

    大人がおいしく食べている姿を見ると、子どもも安心して食べることができます。初めて目にする食べ物も、大人が食べていれば「これは食べても大丈夫なんだ」と安心するもの。

    親子で一緒に食べることは、子どもの食体験を広げるためにも有効ですよ。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 9月号
    牛乳や清涼飲料水で水分補給していませんか?
    9月号

    牛乳や清涼飲料水で水分補給していませんか?

    野菜が苦手、食事をあまり食べてくれないとお悩みのママ、子どもの水分補給に牛乳やジュースなどを飲ませていませんか。実はそれが「食べない悩み」の原因となっているかもしれません。

    これらの飲料は栄養価が高く、甘みもあるので飲み過ぎてしまいがち。幼児の胃は2~3歳児で400ml程度と小さいので、すぐにお腹がいっぱいになってしまいます。

     

    ジュースなどの清涼飲料水には、多くの砂糖や甘味料が使われています。

    エネルギー量の過剰摂取や虫歯の原因にもつながりますし、糖分を代謝するためにはビタミンB群やカルシウムが必要なので、糖分の摂りすぎによって発育に欠かせない栄養素を奪ってしまいます。

    また、噛まなくてもエネルギー量を摂ることができるので、あごや歯の発達も妨げ、その結果、脳の発達も妨げてしまいます。

     

    さらに、おやつとして清涼飲料水にスナック菓子やチョコレートなどを組み合わせると、それらには塩味・油脂・糖分という脳の3大好物が揃っているので、濃い味でないとおいしいと感じなくなり、野菜を食べるお口に育ちません。

     

    子どもの水分補給は、水かノンカフェインのお茶で十分です。ちなみに牛乳は1日200~300mlまで。ジュースは毎日ではなく、たまの楽しみとして位置付けてあげましょう。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 8月号
    野菜嫌いを克服するよりも大事なこと
    8月号

    野菜嫌いを克服するよりも大事なこと

    「うちの子、野菜を食べてくれなくて」と悩むママはとても多いです。健康・栄養が気になる、病気になりやすくなる、大きくなれないのでは……そんな心配から、ママは「子どもに野菜を食べてほしい!」と思うのでしょう。

     

    確かに、野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれ、体の調子を整えてくれるものです。

    でも、野菜を食べてもらおうと、マヨネーズやドレッシングなどの調味料や揚げ物など油の多い調理法で、野菜の味をごまかしていませんか?

    味の濃い調味料や油をたっぷり使って野菜が食べられるようになったとしても、それは健康・栄養のためにはなりません。余分な塩分や脂質を取り込むことにもなり、むしろ病気になりやすい体を作ってしまいます。

    嫌いな野菜があっても良いんです!

    子どもの成長に合わせて、少しずつ食べられるようになれば十分です。大きくなって言葉の意味も分かるようになったら、少しずつ野菜の大切さを説明すればいいでしょう。

     

    ただし、「どうせ食べないから」と食卓から遠ざけてしまうと、子どもは新しい味に出会う機会を逃してしまいます。

    いま食べなくても、食卓には出す!

    これが大切。

    ママたちがおいしそうに食べる姿は、食わず嫌いを返上するきっかけにもなりますよ。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 7月号
    子どもの偏食はわがままではなく本能です
    7月号

    子どもの偏食はわがままではなく本能です

     

    子どもの好き嫌いや偏食には、きちんとした理由があるのです!

    それは、子どもは本能的・感覚的に食べているからです。

    子どもは、青や緑の色、泥臭いや生臭いなどの臭い、酸っぱい・辛い・苦いなどの味を本能的に嫌います。酸っぱいものや苦いものは毒と感じて、体が反射的に避けるのです。つまり体を守るために、体が受け付けないわけです。

    この反応は年齢が低いほど顕著に見受けられます。

     

    かぼちゃやさつまいもは食べられるけれど、ピーマンやほうれん草は食べられない。これは、本能で食べている子どもにとってはごく自然で当たり前のことなのです。

    子どもは大人のように、「肌が綺麗になるから」「体の調子を整えるから」などと理性で食べることはありません。

     

    嫌いな味覚でも、少しずつ食体験を積んでいけば食べられるようになり、おいしさがわかるようになっていきます。

    幼児期は「嫌いなもの」と決め付けずに、「まだ食べられるようになっていない」と考えてみましょう。

    そして、嫌いなものを克服するより、好きなものを増やすことを考えましょう!

     

    何より穏やかで楽しい食事が大切!!

    時期が来れば、自分の体に必要なものは自然と摂れるようになりますよ。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

     

  • 6月号
    子どものココロとカラダ作りは6歳までが勝負!
    6月号

    子どものココロとカラダ作りは6歳までが勝負!

    幼児期は生活習慣の基盤を作るとても大切な時期です。

    子どもはココロとカラダを発達させている段階です。

    特に、脳・腸・舌は3歳頃までにそれらの土台が完成してしまいます。

    どんなものを食べるか、どう食べるかによって、ココロとカラダの状態は大きく変わっていくのです。

    6歳までに食べたものと食べ方が、その子の一生の体作りのベースになります。

     

    間違った食体験は偏った食べ方が身についてしまうし、

    この時期に身につけた食習慣は、大人になっても変えにくいものです。その蓄積は生活習慣病を引き起こす要因にもなっていきます。

     

    30、40年後、わが子が肥満のメタボになっていたら嫌ですよね?

    健康で素敵な大人になってもらうためには、今が勝負です。

    ママ、パパ自身が元気なおばあちゃん、おじいちゃんになるためにも、子どもといっしょに生活や食べ方を見直すことはとても大事です。

     

    朝ごはんを食べること、良く噛んで食べること、「いただきます」や「ごちそうさま」のあいさつをするなど、良い習慣を家族みんなで身につけていきましょう!

     

    今すぐに全部、なんて考えなくて良いのです。

    できるところから少しずつで構いません。

    その心掛けが、子どもたちの今後の未来につながっていきますよ!

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

     

  • 5月号
    何をどれくらい食べるか以上にどう食べるかが大事です!
    5月号

    何をどれくらい食べるか以上にどう食べるかが大事です!

    大きくなるためには、あれもこれも食べさせなきゃ!

    成長のためには、このくらいは子どもに食べさせないと!

    そんなふうに思っていませんか?

     

    子どもは、住んでいる環境、体質、体格、運動量、歯の発達、手や指の発達、それぞれみんな違います。

    なのに、「これくらい食べましょう!」という基準や目安があります。よく考えると「なぜ?」と思いませんか。

     

    子どもが10人いれば、10通りの食べ方や進め方があって良いのです。

    基準があるから、「その通りにしなきゃ!」と思い過ぎるママもいるでしょうし、分からないことだらけで目安がある程度ないと不安になるママもいるでしょう。ママの気持ちもさまざまです。

    だからこそ、「何をどれくらい食べるか」に焦点を当てるよりも、

    まずは、お子さんの食べ方を確認してみてください。

     

    ・良く噛んで食べられているかな?

    ・食べるのは早くないかな?

    ・姿勢良く食べられているかな?

    ・あいさつはしっかりできているかな?

     

    ・「おいしいね!」「たのしいね!」って気持ちで食べられているかな?

     

    「何をどれくらい食べるか」以上に、「どう食べるか」「どんな気持ちで食べるか」が大事! お子さんだけでなく、ママやパパについてもぜひチェックしてみてくださいね。

     

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

     

  • 4月号
    基本は「ごはんと味噌汁」で大丈夫!
    4月号

    基本は「ごはんと味噌汁」で大丈夫!

    毎日毎日、家事に育児に頑張っているママたち。
    きっと、ママたちは毎日違うおかずを作って、子どもや家族に喜んでもらいたい!と思っているかもしれません。
    でも、毎日違うおかずを出さなければという思いから、お惣菜や加工食品に頼ってばかりでは、ココロとカラダの元気度は違ってきます。

    毎日の食事の基本は、「ごはんと味噌汁」でいいんです。

    ごはんと味噌汁は実はベストカップルで、必須アミノ酸のバランスも良いものなのです。先人はこれらに漬物や簡単なおかずでしたよね。それでしっかり知恵をはたらかせて体を動かすことができていました。

    現代の日本人は動物性タンパク質を摂りすぎる傾向にあります。動物性タンパク質の摂りすぎは腸内環境の乱れにもつながります。ただし、ごはんと味噌汁だけでOKなのには、ちょっとポイントがあります。
    ごはんはできれば玄米や分つき米、雑穀米などにしてみましょう。普通の白米よりもたくさんの栄養素を得ることができます。
    そして、みそ汁は具だくさんに。具の種類は多くなくていいので、とにかく具の量をたっぷりにしてみましょう。それに小さなおかずを加えれば、栄養的にもじゅうぶんバランスの取れた食事になりますよ。

    ★おすすめレシピ
    味噌汁はごちそう! 鮭の具だくさん味噌汁

    https://ameblo.jp/sanshokukenbi/entry-12425001971.html

    管理栄養士 幼児食アドバイザー 山口真弓

  • 3月号
    イヤイヤ対応は「現実ベスト」で
    3月号

    イヤイヤ対応は「現実ベスト」で

    子育てのお悩みに対して、「こうやったらいいですよ」などと方法をお伝えすると、「そんなふうに自分はできない」と落ち込むママがいます。「落ち込む」という気持ちも大事な気持ちです。落ち込んでしまうぐらいに、「もっとうまくやりたい」向上心が強いのかもしれません。

    ママは何がしたかったのかな? それは何のために? このハガキでは理想のベストをお伝えしています。でも、いつでもそこには「状況」があるのです。うまくできないにはできない状況があるのです。その状況を考慮せずに、理想のベストをやろうとしたらつぶれてしまいます。

    方法はいつも同じ方法がいいとは限りませんし、イヤイヤ対応の正解も一つではありません。外出先などでは、放電も充電も後回しで、とにかく抱っこしてその場を立ち去るのがベストかもしれませんし、静かにしなくてはいけない状況なら、子どもがほしがったらお菓子をあげてもいいじゃないですか。

    <理想のベスト×状況→現実のベスト>と考えてもらったらいいです。今、自分にできることをやれば、それで十分です。いいお母さんとは、パーフェクトマザーでなく、「グッド・イナッフ・マザー」、つまり、完璧を目指すのでなくほどほどに、ということです。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 2月号
    「イヤイヤ!」に腹が立ってしまう時
    2月号

    「イヤイヤ!」に腹が立ってしまう時

    「ママのバカ!」と子どもが言うとき、何か当たりたいくらいのモヤモヤがあって幸せでない、という話をしました。同じようにママが「子どものイヤイヤにイライラ」「育児が楽しくない」「子どもに当たってばかり」というときは、ママの中にも何かモヤモヤする気持ちあって、幸せでないのです。

    助けが足りなくて、一人で頑張っていて疲れているのかもしれません。そのことをちゃんとわかって、「よく頑張っているね」とほめてくれる人もいないのかもしれません。自分の育児に自信がもてなくて、辛いのかもしれません。

    ママはちっとも悪くないですよ。自分が幸せでないのに、人に優しくなんてできません。ですから、子どもの幸せのためにもママを幸せにしてあげないとね。ママにも放電と充電が必要です。

    いい方法があります。子どもがママの腕の中でイヤイヤするように、パパに後ろから抱き締めてもらって、ママのモヤモヤをパパになすりつけるつもりで、思い切りイヤイヤするのです。そして心の中で、(もう、イヤだー!)とか(パパなんかちっともわかってない!)など思う存分叫んで下さい。言葉に出さないから、誰の記憶にも残らないので安心。イヤイヤの放電効果を実感できますよ。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

     

  • 1月号
    「ママのバカ! キライ!」と言われたら
    1月号

    「ママのバカ! キライ!」と言われたら

    子どもが「ママのバカ! キライ!」と言いたい時は、何か当たりたい気持ちがあるのでしょう。ママとのつながり感が弱くなっているのかもしれません。とにかく今、「幸せでない」のです。

    さあ、ママの出番です。「あ、あなたは今、幸せじゃないんだね。本当はそんなこと言いたいわけじゃないよね。どうしたの? ママのおんぶで幸せになる?」と誘ってみてのってくるなら、そのままおんぶして、「ああ、幸せじゃない! 幸せじゃない!」と共感しながら部屋を一回りしてあげたら、ママにくっつく安心感で落ち着くかもしれません。または、「あ、幸せじゃないね!」とママの方からさっさと抱っこしちゃうのも手です。

    充電か、放電かは子どもしだい。でも、こういう時はモヤモヤしているから、最初は放電でしょう。モヤモヤの中身がママにわかっているなら、「○○したかったね」などと、その気持ちに共感してあげればいいでしょう。でも、わからなくても大丈夫。「なんだかわからないけど、モヤモヤしてたんだね」と共感できます。放電のあとは、抱っこでたっぷり充電しましょう。

    要は、子どもの言葉に振り回されないことです。「バカ! キライ!」ってママに甘えているのね、と思えばいいのです。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 12月号
    激しいイヤイヤ、だだこね、かんしゃく
    12月号

    激しいイヤイヤ、だだこね、かんしゃく

    ダダこねが激しい時、ママはその対応に苦戦していることでしょう。そういう時って、実は子どももとても困っています。運転が下手で暴走してしまっているのに、自分の未熟さをどうにもできないのですから。ママも子どもも「自分はダメだ」と自信をなくしているかもしれません。

    もし、そんな状態だったら、「この子は、まだ運転が下手なんだな」と思ってあきらめてください。あきらめて覚悟してください。運転が下手なのは、ブレーキの練習不足なのかもしれません。または、甘えて泣くのが下手で、おおらかにイヤイヤができないのかもしれません。どちらにしても、ママも子どもも悪くないのです。ただ、今までのやり方では上手くいかないというだけです。困った時は、新しいやり方を手に入れるチャンスです。

    「こうしようね!」とママが手を添えて子どもの聞き分けをしっかり誘い続け、安全にイヤイヤを受け止めながら望ましい行動に導いていけばいいのですが、こじれてしまったイヤイヤやかんしゃくに対応するのは、なかなか大変です。そういう時は一人で頑張らずに、保健所や子育て支援のひろばなどで相談してみましょう。周囲の知恵や力を借りて、ママが安心できる状況を作ることが大事です。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 11月号
    気持ちを受け止めるコツは「体ごと受けとめて」
    11月号

    気持ちを受け止めるコツは「体ごと受けとめて」

    子どもはまだ自分の気持ちを言葉で表現できません。言葉のかわりに、気持ちを「体」で表現します。「イヤイヤ」といいながら、ママをぶったり蹴ったり、物を投げたり、壊したりすることもありますが、子どもは本当はお母さんをぶちたいわけでも、物を壊したいわけでもありません。ただ、どうにもならない気持ちを抱えきれないだけです。こんなときは、そのモヤモヤのエネルギーをお母さんの腕の中で思い切り放電させてあげましょう。

    ぶったり蹴ったり、体ごとぶつけてくる場合は、子どもを加害者にしないように子どもの手を握ってぶつのを止めさせたり、体ごと抱きとめたりしてママが嫌だと思うことはさせないで、心の中のモヤモヤをママの体になすりつけるようにして発散してもらいましょう。そして行動はしっかり止め、「くやしかったね」「残念だね」「ほしかったね」などと気持ちには共感してあげましょう。

    コツは、言葉だけでわからせようと説得するのではなく、葛藤して身もだえしている体を丸ごと受け止めてやることです。モヤモヤのエネルギーをママの体になすりつけて放電されると、ママの共感に「うん」と言えるようになり、落ち着きます。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

     

  • 10月号
    イヤイヤ対応のきほんは「放電+充電」
    10月号

    イヤイヤ対応のきほんは「放電+充電」

    さあ、いよいよ子どものイヤイヤをどう受け止めるか?という具体的な話をしましょう。イヤイヤ期以前の子どもは、思い通りにならないとウェーンと泣いてママのところに戻ってきてよしよししてもらっていましたが、イヤイヤ期になると、地団駄踏んだり、体を左右にゆすってヤダヤダしたり、床に寝転んで全身で身もだえしたりするようになります。なぜでしょう? それは、子どもの中に、アクセルだけでなく、ブレーキを踏もうとする気持ちが育っているからです。ブレーキを踏まなければ、葛藤は起きずに、ただ自分の思い通りにしようと突進するだけです。

    偉いでしょう!「思い通りにしたい」けど「それはダメだ」と葛藤して、身もだえしているのです。人に当たったり、物を投げたり、壊したりせずに、モヤモヤする気持ちを上手に発散(放電)しているのです。「よしよし」の充電とは反対に、「ヤダヤダ言わせて!」なのです。

    子どもがおおらかにヤダヤダ言っているのなら、親はまず見守って、気がすむまで放電させてあげましょう。そして、子どもが葛藤を乗り越えて立ち直ったら、乗り越えたことをほめて、ぎゅーっと抱いてあげましょう。これで「放電」+「充電」完了です。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 9月号
    ママは子どもに安心をあげる「充電器」
    9月号

    ママは子どもに安心をあげる「充電器」

    子どものイヤイヤにどう対応するかの前に、イヤイヤ期を支えるママと子どもの大事なつきあいについてお話します。

    700万年前、霊長類ヒト科として誕生した私たちの祖先が、言葉を使うようになったのは7万年前。長い間、私たちは言葉なしにコミュニケーションをとって信頼関係を作ってきた社会的動物です。人と人との信頼関係なしには、私たちは安心して今を生きていけません。

    子どもが「この自分でいいんだ」と自信をもって生きていくには、ママとつながっている安心感、「自分は大事な存在なのだ」と思えることが必要です。それがあるから、安心して自分の思い通りにならない気持ちをおおらかにヤダヤダと表現できるのです。「表現しても嫌われない」という安心感です。

    その安心感は、「共にいる」体感から養われます。親子で何かを一緒にするのも楽しいですが、何もせずただママに触れて、ママを感じる時間も大事です。子どもは不安になるとママのところに甘えていって、ママによしよししてもらうことで安心を「充電」して、また元気に離れていきます。ママの「安心をあげる充電力」は誰よりも大きいのです。ママが力を発揮するためにも、ママ自身の充電も忘れずに!

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 8月号
    「気持ち」に共感、「行動」はコントロール
    8月号

    「気持ち」に共感、「行動」はコントロール

    「クイーンエリザベス号に乗って世界一周旅行したいな!」と思わず口にした時、「そんなの無理にきまっている。ばかばかしい!」と言われたらムカっとしませんか? ただ、「そうだね。行けたらいいね」と言ってくれればいいのに、と。

    気持ちはどんな気持ちもあっていいのですが、実際にクリーンエリザベスに乗るために皆が住んでいる家を売ろうとしたら困りますね。でもそうならないのは、大人は自分の「行動」をコントロールできるからです。

    子どもは「アイスクリームをおなかいっぱい食べたい!」と思ったら、まだ行動のコントロールが上手でないので制限なく食べてしまいます。「1個だけにしようね」と大人が作る「枠」が必要です。でも、それを言葉だけで「ダメ!」と伝えてもまだ無理。脳科学者の茂木健一郎さんいわく、「(2~3歳の)子どもの脳は、わかってもできない脳」なので、ママの言うことを理解はしても、実行はできないのです。

    「アイス、もっと食べたい!」と冷蔵庫に突進する子どもは、言葉だけでなく、体ごと止めましょう。ママの言葉で「アイス、いっぱい食べたいよね」と気持ちに共感しながら、ママの体で「でも、やめようね!」と行動をコントロールすることができます。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

     

  • 7月号
    親が子どもの「ボス」になる
    7月号

    親が子どもの「ボス」になる

     気持ちのコントロールは、車の運転に例えることができます。自分の思い通りにしたい気持ちがアクセル。自分の気持ちを抑制するのがブレーキ。大人の私たちでもアクセルを踏みすぎて失敗したり、ブレーキを上手く踏めずに後悔したり、自分の気持ちの運転はなかなか難しいのです。その難しい運転を子どもは今、学び始めているのです。

    子どもは人生が始まったばかりの、この世の新入社員のようなもの。親は先を行く上司、ボスなのです。会社だったらどういうボスがいいですか?「困ったら相談しやすく、話を聞いてくれる人」「方針が明確で」「行き過ぎたら止めてくれて」「任せてくれて、でも最後の責任をとってくれる人」。逆に、新入社員に「どうすればいいと思う?」なんていちいち聞いてくるボスは困りますよね。

    子どもにどう接したらいいか?と迷ったら、「自分だったら、上司にどうしてもらいたいか?」と考えてみると、ママ自身の中からヒントがみえてくると思います。それにしても、新入社員ですから、社の方針には従ってもらわないとね。子どもの気持ちを尊重することは大事ですが、「ごはんの前は、お菓子はなし」と枠をつくり、子どもを導いていくことも親の大事な仕事です。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 6月号
    「しつけ」ってなんでしょう?
    6月号

    「しつけ」ってなんでしょう?

    『犬のしつけ』という本に、「犬をしつける目的は、犬を自由にするため」とあります。飼い主のそばを離れない犬なら、リードはいらない。吠えないようにしつければ、一緒にレストランにも行ける。子どもは犬とは違うけれど、しつけの目的が自由になること、というのは同じです。子どもたちは、いずれ親から離れて社会に入っていきます。その社会のルールが身についていれば、幼稚園、保育園に入っても自分らしく自由にふるまうことができます。しつけられていないと困るのは、子ども自身なのです。

    しつけは具体的には、親が「枠をつくる」ことから始まります。たとえば、「お菓子が食べたい」という子どもに、「もうすぐごはんだから、今はお菓子は食べないよ」という枠を作ります。枠ができたことで、子どもの中には<「聞き分けなくちゃ」⇔「いやだ」>という葛藤が生まれます。葛藤といっても、お菓子に恋する未練心の方が強力で、「いやー! 食べるー!」と親の枠にぶつかってきます。ここで親が枠をゆるめてしまうと、葛藤を乗り越えて「聞きわける」練習ができません。ですから、親は枠をゆるめず、泣いたり騒いだりする子どもを「ただ今、失恋中!」と受け止め、「聞き分ける力」を育てましょう。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 5月号
    イヤイヤっ子の心の中は…
    5月号

    イヤイヤっ子の心の中は…

    「おもちゃがほしい!」「お菓子、もっと食べたい!」「まだ家に帰りたくない!」などと子どもにイヤイヤ言われたとき。「だってしかたないでしょう。あのね…」と一生懸命ダメな理由を説明しても全然納得してくれなくて、ママの方がくたびれてしまった、ということはないですか?

    「どうしてわかってくれないの!」と思うとき、イヤイヤっ子の心を理解するには「失恋(=自分の思い通りにならないこと)」をイメージしてみるといいかもしれません。

    「彼は他の人のことが好きになったんだから、しかたないでしょう」などと理由を説明されても、そうそう簡単には納得できませんよね? 子どもも同じで、自分の思い通りにならないことはわかっている。でも、思いが通らないときのモヤモヤする気持ちを自分ではどうにもできないのです。

    イヤイヤ期の子どもの毎日は、いわば日々「失恋」の連続です。魅力的なおもちゃに失恋、大好きなお菓子に失恋。もっと遊びたい公園に失恋……。子どもの心の中には、大好きなママの言うことを「ウン」と素直に聞きたい気持ちもあるのですが、あまりにも未練心が大きいので、自分を通そうとする「イヤイヤ」のほうだけが目立ってしまうのです。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 4月号
    イヤイヤが始まった! どうしよう! 
    4月号

    イヤイヤが始まった! どうしよう! 

    生まれてから順調に子育てしていたのに、イヤイヤが始まってから行き詰ってしまったという話をよく聞きます。できもしないのに「自分でやる!」と言い張ったり、「どうしてもこっちがいい」とダダをこねたり……。もうママの方もイヤーですよね。でもイヤイヤ期には、実はとても大事な意味があります。

    これまでイヤイヤが激しくなかったのは、まだ子どもの中に「自分はこうしたい」というプランがなく、「ママのプランが僕(私)のプラン」でよかったからです。でも今や、順調に育って「自分のプラン」を作れる力がついたのです。

    ですから、イヤイヤが激しくなってきたら、ママは「私の育て方は間違っていなかった!」と自信を持って、「ここまでよくやってきた!」と自分をほめ、まずは成長をお祝いしましょう。

    その上で、子どもの立場で考えてみましょう。自己主張が始まったばかりの子どもにとって自分の作ったプランは唯一絶対!なもの。まだ譲り合うという練習の経験がないのですから、とにかく主張することに頑張るのです。「自己主張」と「相手の主張を受け入れること」その両方ができて、譲り合うことができます。その練習がいよいよ始まりました。

    日本抱っこ法協会 公認ホルダー 阿部優美

  • 3月号
    心のお掃除 -ママ、いつもありがとう!
    3月号

    心のお掃除 -ママ、いつもありがとう!

    デトックスが流行っていますが、忙しいママには「心のデトックス」も必要です。年末とかお誕生日にでも、1年に1回、定期的にデトックスをしてみませんか? やり方は簡単。まず、1年を振り返ります。何をしていたかはあまり覚えていないと思いますので、イベントから書いてみましょう。きっと、イベントがらみで、楽しかったこと、辛かったことを思い出すことができるようになると思います。 次に、それを見ながら、「この1年は、バタバタだった」のように、共通した気持ちを探しましょう。そうすると、ある傾向が見えてくると思います。傾向が分かったら、翌年の目標を立てます。この場合なら、「バタバタだった=時間に追われた」ということにつながるので、「計画を詰め込み過ぎない」という大まかな目標を立てます。さあ、これでデトックスの半分が完了です。 次は、心から、ご自分に「お疲れさま」を言ってください。子育ては長期戦。今、一生懸命頑張っていても、結果がでるのはずっと先です。だから、「結果」ではなく、「頑張った自分」にご褒美です! ママ、一年間、ご苦労さまでした。本当に、頑張られましたね。今の努力は、何年か先にきっと、素敵な花が咲きますよ!!

  • 3月号
    心のお掃除 - ママ、いつもありがとう!
    3月号

    心のお掃除 - ママ、いつもありがとう!

    デトックスが流行っていますが、忙しいママには「心のデトックス」も必要です。年末とかお誕生日にでも、1年に1回、定期的にデトックスをしてみませんか?

    やり方は簡単。まず、1年を振り返ります。何をしていたかはあまり覚えていないと思いますので、イベントから書いてみましょう。きっと、イベントがらみで、楽しかったこと、辛かったことを思い出すことができるようになると思います。

    次に、それを見ながら、「この1年は、バタバタだった」のように、共通した気持ちを探しましょう。そうすると、ある傾向が見えてくると思います。傾向が分かったら、翌年の目標を立てます。この場合なら、「バタバタだった=時間に追われた」ということにつながるので、「計画を詰め込み過ぎない」という大まかな目標を立てます。さあ、これでデトックスの半分が完了です。

    次は、心から、ご自分に「お疲れさま」を言ってください。子育ては長期戦。今、一生懸命頑張っていても、結果がでるのはずっと先です。だから、「結果」ではなく、「頑張った自分」にご褒美です!

    ママ、一年間、ご苦労さまでした。本当に、頑張られましたね。今の努力は、何年か先にきっと、素敵な花が咲きますよ!

     

    認定カウンセラー 前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)

  • 2月号
    これさえ、押さえておけば大丈夫 - 子育ての基準
    2月号

    これさえ、押さえておけば大丈夫 - 子育ての基準

    今は、情報過多の時代です。何か知りたいと思って調べても、答えが多すぎて迷ってしまいます。何かを選択する際、5択以上だと決められなくなるのはご存じですか? 子育て関連の情報も同じです。

    子育ての基準も同じで、「良かれ」と思って多くを取り入れると、親としての軸がぶれてしまいます。また、「せねばならぬ」が多いと、する方も、される方も、疲れてしまいます。

    「子どもに、何を身につけて欲しいのか」について考えてみると、次の4つの基準が大事だと思います。

    1.自分の体は自分のものである、という感覚的な思い。(だから、トイレ・トレーニングは無理強いしないで)

    2.親から守られている感覚。(手を出さず、見守るだけでOK)

    3.簡単な時間割を作って繰り返すこと。(安心感や先を見越した能力が芽ばえます)

    4.ママやパパからの共感(気持ちで反応してくれること)

    そうです。特別な事は、何にもいりません。しいていえば、「手は出さず、焦らず、のんびりと」を今のうちに、イライラしないでできるようになりましょう。この基本があると、子どもの背中を押し過ぎることのないサポートが、将来できるようになりますよ!

     

    認定カウンセラー 前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)

  • 1月号
    「NO」は、心の独り立ち-「イヤイヤ」への対応
    1月号

    「NO」は、心の独り立ち-「イヤイヤ」への対応

    「ママ、イヤ~ッ」「イヤ!」 魔の2歳期、ママは大変ですが、「イヤイヤ」はとても大事な成長の証です。このイヤイヤ期があるからこそ、子どもは自己表現を学び、それを通じて気持ちが育ち、我慢や人に対する思いやりが芽生え、自分をコントロールする術が身につきます。この時期にこれらを学べないと、成長するにつれ、周りに順応できなくなってしまいます。

    さて、「イヤイヤ」が成長のために必要なことだとしたら、ママはそれにどう対応したら良いのでしょう?

    人生は、自分ではどうにもならないことや不公平なことでいっぱいです。「そんな時には、自分の怒りをぶつけなくても、相手に通じる方法があるよ」と、教えるのはどうでしょう?

    子どもに「イヤイヤ」をされたら、まず「何が(どう)したいのか」を聴いてみてください。それができることであれば、させてあげましょう。

    できないことであれば、「したい気持ち」は受け止めて、「それは、できないけど、これは、できるよ」と代案を考えてあげてください。

    そして、どうしてもムリなことは、「そうなったら、いいね。でも、ダメは、ダメだよね」と言うのはどうでしょう?

    「イヤイヤ期」も必ずおさまるので、安心して下さいね!

     

    認定カウンセラー 前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)

  • 12月号
    お出かけ先での「困った!」
    -癇癪(かんしゃく)の心理と対処-
    12月号

    お出かけ先での「困った!」
    -癇癪(かんしゃく)の心理と対処-

    お出かけ先で子どもがダダをこねると、周りの目も気になり、困ってしまいますよね。また、子どももふだん行かないところに行ったり、人混みに出たりした時の方が、癇癪を起こしやすい気がしませんか? おチビさんの癇癪は、自分の思い通りにならないときに、「怒り」や「緊張」を発散するために起こりますが、親ができる対処法は「冷静であること」で、治まるまで待つしかありません。ただ、ひんぱんに癇癪を起こす場合には、親がかまってくれることに味をしめている可能性もありますので要注意です。 おチビさんは疲れると癇癪を起こしやすくなりますので、外出の際は、「今日はおとなしいから、用事をもう一つしてしまおう」などと、大人の都合で決めるのはやめましょう。計画通りにできたら、それを喜び、それ以上は求めないことも大事です。 「もっと、もっと」と思い始めると、その気持ちがあせることにつながります。子どもが癇癪を起こした時にも、「早くやめてほしい」と思い始めると、その気持ちは子どもに伝わって、やめなくなってしまいます。 おチビさんが癇癪を起こして、ママが怒ると、親子で癇癪を起こすことになりかねません。クール(冷静)になりましょう!

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会) 認定カウンセラー 前田節子

  • 11月号
    子どもに伝わるしつけ方 -親がお手本-
    11月号

    子どもに伝わるしつけ方 -親がお手本-

    しつけの目的とは、将来自立し、社会のルールに沿って生き、円滑な対人関係を築くためのスキルを身につけることです。たたいたり、どなったり、口うるさくなじったり、おだてなくても、子どもをしつけることはできると思います。 一番大切なのは、「成長に合わせたしつけであること」。そして、子どもは親が言ったことではなく、親の行動を真似ますので、「親がお手本となること」。この2つのポイントさえ押えておけば、あとはそれほど難しくありません。「良いふるまいをしたらほめ」、「良くないことをしたら叱り」、「大人が困ることをしたら、取り合うのをやめ」、そして「ルールをつくり、折にふれて繰り返す」ことが大事なのだと思います。

    また、伝え方も大切です。「なんで、そうするの?」とか、「何回言ったらわかるの!」などと間接的に伝えるより、直接的に「こうしてみようか」とか、年齢によっては「どうしたらよいと思う?」という言い方のほうが子どもには分かりやすく、バランスのとれたコミュニケーションができるようになります。 ママやパパはおチビさんのお手本なのですから、複雑に考えず、頭でっかちにならないように、背筋を伸ばし、颯爽と進んでくださいね!

  • 10月号
    子どもに伝わるしつけ方-効率悪いと、伝わらないよ
    10月号

    子どもに伝わるしつけ方-効率悪いと、伝わらないよ

    「何回言ったら分かるの!」「ダメって言ったでしょう!」「なんで、できないの!」等、(私自身も言った覚えがある言葉ですが)考えてみると、これはとても効率の悪い叱り方です。

    乳幼児にはこのような叱り方はしないと思いますが、これでは、叱り始めた途端、子どもに「聞くスイッチ」を切られてしまいます。

    子どもが聞いてくれる叱り方で大事なのは、お説教でも説得でもなく、「感情的でないこと」です。

    「ダメ」を伝えたければ、「ダメだよ」で良く、その理由をクドクドと説明する必要はありません。また、「何回言ったらわかるの!」と言った嫌味も必要なく、して欲しいことを「しなさい」というだけで良いのです。「なんで、できないの!」に至っては、「それは、ちゃんと教わっていないからです」という答えが子どもから返ってきそうです。

    子どもの年齢が低いほど複雑な内容は伝わりませんので、理由を述べることなく、「して欲しくないこと」を単刀直入に伝える練習をしておきましょう。

    「これ、しなさい」と言われた方が、「これ、していないよね」と言われるよりも、受け取りやすいと思いませんか? そして、自分にもやさしくなれますよ!

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)

    認定カウンセラー 前田 節子

     

  • 9月号
    「怒る」と「叱る」の違い、わかるかな?- 「ムカッ!」と「ドキッ!」
    9月号

    「怒る」と「叱る」の違い、わかるかな?- 「ムカッ!」と「ドキッ!」

    「怒る」と「叱る」を使い分けているママやパパは、ほとんどいません。また、5歳ぐらいの子どもたちに「何が一番イヤ?」とたずねると、ほとんどの子が「ママに怒られること」と言います。

    「怒る」と「叱る」を簡単に分けると、「叱る」は子どもの安全や生きて行く上で必要なルールを守らなかった時で、「怒る」は親が自分の怒りを表現することなのだと思います。

    例えば、外出前の準備をしている時に、「どうして早くできないの!」と言ってしまうのは、「遅れてしまう」とか「時間がない」など親の都合に関連した事であり、自分の怒りの八つ当たりであることが多い気がします。

    特に、子どもが小さい時期は、危ないことをしない限り叱る必要はないため、おチビさんを怒ると自己嫌悪になってしまうママが多いのだと思います。

    怒りという感情は、とても大事な気持ちです。ただ、自分の怒りを子どものコントロールのために使うのは、疲れるだけなのでやめた方が良いですよね。

    「ムカッ」と来たら、たぶんそれはママの気持ち。「ドキッ」ときたら、それは危ない事をした時なので、しっかり「叱って」下さいね。

    前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)認定カウンセラー

  • 8月号
    私って、ダメ母かも? - 完璧ママ症候群
    8月号

    私って、ダメ母かも? - 完璧ママ症候群

    最近、「私、何にもする気がしなくって……」とおっしゃるママが増えてきています。

    色々な事情があるのでしょうけれど、原因を一緒に考えていくと行きつくことが多いのは、「私、完璧になりたい」というママの思いです。

    完璧主義の裏側には、「完璧であれば、過去の過ちをリセットできる」とか、「人の目が気にならなくなる」とか、「もっと愛されるようになる」という偏った考えがあるような気がします。

    ちょっと、ご自分に「私が完璧なママだったら、子どもはどんな子どもに育つのだろう?」と聞いてみてください。

    極論かもしれませんが、完璧な子どもはミスをしません。ミスをしないということは、何もできない・しない子なのかもしれませんし、ママを必要としない子かもしれません。そして、「完璧」とは、現実には存在しない基準なのだと気づかれると思います。

    考えるのが苦手な方は、「完璧でない親であること自体が、子どもにとって最高の贈り物だ」と思って下さい。

    「え! それって、何もしないことですか?」と思われるかもしれませんが、もう、すでに努力なさっているから、大丈夫ですよ。

    完璧でないママは、生き生きしていてステキです!

    前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)認定カウンセラー

  • 7月号
    ちょっとだけ、意識してみましょうか - 心の声を聴いてみて!
    7月号

    ちょっとだけ、意識してみましょうか - 心の声を聴いてみて!

    おチビさんがいるママは、「世界一忙しい」! 何かをしなければならない、といったことはなくても、一日がバタバタ、ノロノロ。達成感を感じることもなく、何となく一日が過ぎていきます。ただ、ママにとってはバタバタ、ノロノロでも、それはおチビさんが成長するためには、とても大事な栄養です。

    そんな大変な日々の中でママができることは、「自分の気持ちを意識すること」。

    「え? なんで?」と思われるかもしれませんが、自分の気持ちを分かっていない人って多いんです。自分の気持ちが分からないと、その対処も分からないので、気持ちが下がってくることにつながります。

    やり方は、簡単。何かしている時に、「私、今、うれしい? 悲しい? 怒ってる? 不安?」と自分に聴いてみてください。そして、答えがでたら、「そうなんだね」と自分の気持ちを受け止めてください。

    「気持ち」に、良い悪いはありません。

    自分の気持ちを受け入れられるようになると、そう感じた理由も分かるようになって、対処できるようになりますよ。

    自分の気持ちが分かるママは、人の気持ちも分かるママです。気持ち美人になりましょう!

    前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)認定カウンセラー

  • 6月号
    ほめてばかりで大丈夫? - 基準は、大事!
    6月号

    ほめてばかりで大丈夫? - 基準は、大事!

    「子どもをほめて育てる」という考えが定着してきていますが、実践できる家庭は少ない気がします。それは、日常生活の中では、子どもは「ほめられること」よりも、大人が「してほしくないこと」をする方が多いからかもしれません。

    そう考えると、「子どもをほめて育てる」よりも、「批判的しない子育て」のほうが、現実的で、バランスのとれた接し方と言えそうです。

    「してはいけない事」をしたら、理由は説明せずに、シンプルに「ダメだよ」と声かけをしましょう。親が子どもに教えなければならないことの一つに「社会のルール」が含まれていますので、「ダメだよ」で教えて行けばよいですよね。理由なしの「ダメだよ」は、批判的でも攻撃的でもなく、ニュートラルです。「ダメ」の理由は、もっと成長してから伝えたらよいと思います。

    子どもは、「ほめられる」よりも「怒られない」方が好きです。頑張ったらほめて、してはいけないことをしたら「ダメだよ」の方が、ママもパパも楽ですよね?

    生きることは、バランスをとること。「過ぎたるは、及ばざるが如し」。そして、叱るためには親の基準が同じであることが大事なので、一度、ママとパパ一緒に、「ダメ」の基準を見直してみてくださいね。

    前田 節子

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)認定カウンセラー

  • 5月号
    どう、ほめたら良いの?
    5月号

    どう、ほめたら良いの?

    -「結果」よりも、「経過」が大事だよ!-

    最近、子育てセミナーなどでよく聞かれるのは、「子どもを、どうほめたら良いですか?」という質問です。私は、いつも「ほめるのは、結果ではなく、経過をほめてください」とお答えしています。 「え!?」という反応が返ってきますが、結果をほめていると、ほめないと何もしない、とか、できないことや苦手なことはしない子どもになる可能性があります。 経過をほめる為には、子どもがしていることを「見守る」ことが必要になりますが、「経過をほめる」と子どもは、自分が見守られてる感があり、そこから安心感が生まれます。 そして、たとえ結果が出なくても、「頑張ること」は大事だと思う気持ちと忍耐力が育ちます。また、たいして頑張らなかったときに結果をほめられても、子ども自身もあまりうれしくないようです。 一生懸命作ったのに失敗してしまった夕飯を、「おいしいよ。一生懸命作ったんだね」と言って食べてもらえると、「次は、頑張ろう!」と思えますよね。子どもも、それと同じです。そして、頑張れば、結果はきっとついてくるのだと思います。ママ、パパ、いつも頑張っていらっしゃいますね!  その気持ちがステキです!

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)
    認定カウンセラー
    前田節子

  • 4月号
    キラキラ・チョロチョロ、これ、なあに?
    ─ 子どもの生きる力 ─
    4月号

    キラキラ・チョロチョロ、これ、なあに?
    ─ 子どもの生きる力 ─

    おチビさんは、目覚めたときから眠るまで、自分が動けるのがうれしいのか、一日中、家の中を探検します。机の引き出しの取っ手につかまり、こちらのドキドキはおかまいなしで、急に立ちあがります。「あ!」と思った瞬間、自分でちゃんと「尻もちスタイル」で元の体勢に戻っています。

    毎日が、ワンダーランド。家の中にある物は、全部、新しい発見。おチビさんはとてもハッピーですが、ママやパパは大変!毎日がドキドキ・ハラハラの連続です。

    少し大きくなっても、キラキラ・チョロチョロは変わることなく、「うちの子、落ち着きがなくて困ります!」というママの声が聞こえてきますが、基本、乳幼児は皆、落ちつきはありません。

    おチビさんがキラキラ・チョロチョロしている時は、ママやパパは、手や口は出さず、見守っているだけで十分です。手を出さないことで、「勇気と好奇心と積極性」が芽生えます。

    唯一、要注意なのが、おチビさんが集中している時。何か危ないことをしているかもしれないので、油断大敵です。

    この時期から手や口を出さず、「見守り」ができるようになると、これからの子育てが楽になりますよ!

     

    BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)
    認定カウンセラー
    前田節子

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